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生々しい話をお一つ

カクヨムで「ロイヤルティプログラム」がスタートします。
色んな意見が飛び交う内容ですが、私は参加します。

まず簡単にプログラムの説明をしますと、
「広告を掲載することで利益を得る」
ということです。

まあブログの記事やアプリでの閲覧で慣れている人は多いでしょう。
それだけ広告というのは多人数の目に触れ、昨今ではテレビCMよりも効果的な場合が多いです。
企業がCMを流す際に、制作費・放送依頼料など多くのお金が動きます。その一部がカクヨムを通じてプログラム参加者の「広告掲載」を選んだ人に配分されるわけです。

ここで問題なのは
「今まで無料・無償で作品を公開していた人が、広告費で稼ごうとしている」
という悪感情に囚われることです。

働いている身としては、お金を稼ぐのは悪ではありません、
むしろ必要なんです。残念ながら人間社会は夢や浪漫ではなく、お金で回っているのです。
なにせお金がないと作品公開のために必要なツールや通信料などが不足してしまうのです。つまり厳密には「無償で公開している」という状況はありません。

学校の教室でノートに鉛筆(シャープペンやボールペン)で小説を書き、他人に読ませている人がいるとしましょう。
これにもノート代や鉛筆代などを制作者が負担しています。つまり基本的に作者とは最初に損をしています。それが百円だとしても、必要経費はかかっているわけです。
そこに制作するための時間を一万文字を六時間(私の大体執筆スピード換算です)と考えると、時給がマイナスなんですよ。これって大問題だと思いませんか?

ここで「趣味で書いているなら良いじゃないか」なんて意見も出るでしょうが、継続するにはやる気や感情だけではどうにもならない時が確実に発生します。
趣味で書いていれば「まあ更新停止してもいいや」と作品が未完のままストップしてしまう事態が頻発します。心当たりがある方は多いではないのでしょうか?
そこで確実に「どうして更新停止してしまったのだろう?」と嘆くでしょう。

答えは簡単です。制作側として「この状況のままでは続けられない」に尽きます。

そういった悲劇を避けるために「制作側にある程度の報償を」という考えが「ロイヤルティプログラム」の根幹に当たります。

別の例として、ラノベ一冊は約十万文字とされています。
手元にあるラノベが約四百七十ページ(かなり厚みがある方です)が七百十円(税別)となっています。
すると一ページ約二円弱と計算できます。一ページが四〇文字×十七行で六百八十文字です。

しかし一ページ全部文字で埋まっていることはほぼないので、六百八十文字以下で約二円を払っていると考えてみましょう。

私は一話公開に約一万文字を目安にしていることが多く、プログラム参加によって一話を一人閲覧で一円と考えてみましょう。
約十話公開でラノベ一冊分で、その全てを一人が閲覧したとすると――十円の稼ぎです。
……驚きでしょう?本屋で売られているラノベの四十分の一以下なんですよ。これで稼いでるとか言われても困ってしまいます。

しかも十万文字×六時間=六十時間=十円=時給が一円にも満たないんですよ。
最低時給とかそんな問題ではありません。確実に公開するための通信料も稼げてるか怪しいんですよ。
つまりプログラム参加しても、稼げない可能性が大きいです。

しかもプログラムは配当制度など難しいので、これよりも稼げないと考えても問題ないのです。
しかも三千円分のポイントが貯まらないと振り込まれないので、ほぼ無償のまま公開とそんなに変わらないのです。

では何故プログラムに参加するのか。
答えは簡単です。ぶっちゃけ「手応え」が欲しいのです。

感想を貰えるなんて希少で、評価一つに一喜一憂。
このまま続けられるのかという不安と戦いながら、そんな不安定な応援でなんとか綱渡りしているような制作環境です。(もちろん評価や感想を貰えたら一週間は浮かれるんですが)

そんな時に「お金」というのは効果が絶大です。
なにせ人間の文明及び文化において、ありとあらゆる場所で通用します。
異世界転生だろうがなんだろうが、小説においてお金が出てこない作品などほぼないと言えると思います。

例え一円玉にならなくても、確実に「自分の作品でお金が入った」というのは「自分の作品には価値がある」という自信に繋がります。
価値があるならばと更新を頑張る気力に繋がりますし、自信がつくことで前向きな気持ちになれます。
少しでも作品を良くしようと試行錯誤を重ねますし、どうすれば多くの人に見て貰えるだろうかと努力と意識向上にも働きかけます。

はい。要は「自分の作品向上のためにプログラム参加」なんです。

もちろん稼げれば御の字ですが、そんなのは最初から度外視ですよ。宝クジで大当たり引きたいなくらいの軽い気持ちです。
前述したように稼げる見込みはほぼ零なんです。

同人誌だって百冊売れてようやく黒字な世界です。ネット公開の小説も基本的に赤字覚悟の趣味活動で、いつ作品が消えてもおかしくないんです。
残念ながら出版社の力を借りない限り、作者というのは基本的に稼げないんです。世知辛いですね。
恐ろしいのは作品が売れないと、将来の見込みも立たずにいつでも崖っぷちなんです。打ち切り作品が好きだった人は、そこは重々承知だと思います。

というわけで好きな作品があり、更新を続けて欲しいと願う読者さんへ。
感想や評価も大事です。けれど「対価を支払う」という意味を知ってください。
十分で読める文は十分では書けません。何時間もかけた文章に、少しでも貢献したいと思うならば「プログラム参加」を受け入れて頂ければと思います。

またプログラム参加に迷う作者さんへ。
参加しても稼げるような内容ではありません。それでも感想や評価以上の「手応え」が欲しい時、これは大変わかりやすい目安です。
少しでも作品を続けたい、完結まで書き切りたいと願う時、この目安は励ましになると思います。是非、検討してみてください。


ちなみに私は「小説家になろう」でも同作品・同内容を掲載しています。
そちらでは作者が稼げる仕組みはありません。まあ広告はありますが、それは基本的に「なろう」の運営費に回っているはずです。

どうしてもカクヨムの「ロイヤルティプログラム」に抵抗のある方、作者が稼げる仕組みに懐疑的な方、上記の説明では納得できない方など様々だと思います。
なのでそういった方には「なろう」で読むことをお勧めします(各作品のあらすじにURL記載しています)内容は全く同じですし、更新時間もほぼ同時です。
おそらく他の参加作者さんでも同じように別の場所で同時公開している方は多いので、あまりプログラム参加を強く意識しないでください。

まあ、そういった生々しい赤裸々なお話でした。

個人的な話をすれば、感想や評価を貰えた方が嬉しいです。特に「好き」という一言は、単純に心に突き刺さる最強の褒め言葉だと思います。
「この人は読むだけでなく、貴重な時間を使って私に『好き』を伝えてくれた」というのは最高の栄誉ですね。
それだけで「私も貴方が好きです!」なんて思考が一気に花畑になるんです。なので好きな作品に出会ったら、積極的に作者さんに伝えることを私は推奨しています。

では、そろそろオチをつけましょうか。
色々な変化が常日頃に満ちていますが、これからも読んで頂けたら幸いです。
なるべく更新を頑張りますので、どうかよろしくお願いします。

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