2年ほど続けていた改稿に目途が立ったので、拙作『退魔師としょう油』の公開を決めました。100%書き直しです。実質、新作と変わらない気がします。
本作は一之瀬雫那《いちのせしずな》というキャラクターを知人からお借りしての作品になります。この一之瀬さんというキャラクターにわたしは恋してしまったのです。辛いことも多かった改稿を続けてきたのは、一之瀬さんのかわいさを再現したいという一心でした。
なぜ、わたしはこうも一之瀬さんに惹かれるのか。自分のオタク史を振り返ってゆくうちに、どうやら映画俳優のシルベスタローンまでさかのぼれるとわかってきました。
しばし、わたしの自分語りにお付き合いいただければ幸いです。
『ランボー』というシリーズについてはご存じでしょうか? この第1作におけるシルベスタローンは完璧に少女だと思うのです。『ランボー』の主人公を少女にした上であらすじを振り返ってみましょう。
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少女シルベは幼いころから戦闘技術を叩き込まれてきた。彼女の能力は戦争において如何なく発揮される。
その戦争が終わり、シルベは亡くなった戦友の故郷を訪れた。
このころ国内では戦争から戻ってきた兵士、帰還兵へのまなざしが冷たかった。シルベにも同様のまなざしが注がれる。シルベは戦闘能力が高いことをのぞけばふつうの女の子だというのに……。
町の人々は難癖をつけてシルベを逮捕。拷問にかける。
そのとき、戦場での辛い記憶がシルベのなかでフラッシュバック。暴走、そして脱走。
人々はシルベに追っ手を差し向ける。
シルベは山中にてその戦闘能力を活かして応戦。追っ手を一蹴したが、騒ぎはどんどん大きくなる。ついには軍隊まで出動。
山中で孤独な戦いを続けるシルベの前に教官が現れる。シルベを兵士として鍛え上げた男だ。
投降を呼びかける教官に対し、シルベは心情を吐露する。
「戦争なんて終わらなければ良かった」「わたしの居場所はあそこしかなかった」
そしてシルベは愛する教官によっていづこかへ連行される。
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と、このようにわたしがハマってきたラノベやエロゲにおけるヒロイン像のひとつが提示されているわけですね。
以後、わたしは「兵士」の匂いをまとうヒロイン像に惹かれてきたんだと思います。一之瀬さんにも同じ匂いを感じました。一目惚れと言っていいと思います。
今回、わたしは一之瀬さんに「退魔師」という役割を与えました。モンスターと戦う役割です。
複雑な事情を抱えるわが国において「退魔師」は「兵士」のメタファーにも使われてきたように思います。わたしは、過酷な運命を背負って戦う一之瀬さんと思い切り恋がしたい。そういう想いで執筆しています。
もし、あなたにも一之瀬さんに恋してもらえたら、こんなにうれしいことはありません。