*****⁂ 山田の実態 ⁂*****
縁故で入社した山田光男は、独身寮があるにも関わらず……
設備も悪い事からとの理由で、父親に所轄の警察に程近い場所に賃貸マンションを借りてもらい、休みの日は独りバ-チャルの世界の卑猥な女性の画像を見ながら興奮しています。
「イッヒッヒ~可愛いな~ああ~アア~」
困った!チョットおつむの弱い……要はバカ息子なのです。
それでも警視監の父親は、たまに家に帰ると「あの田中のオヤッサンとうまく仕事が出来てるか?色々教えて貰っているか?もう大分仕事は慣れたか?」
光男も家に帰ると、心配の余り矢継ぎ早に質問して来る警視監の父親に、ウンザリしているのです。
「ああ~大丈夫だヨ!僕が起点が聞くから、オヤッサンも頼りにしてくれてるんだ~」
「そうか~お父さんは安心だ~」
光男はいいかっこシ―な所があるので、最大限の見栄をはってお父さんを喜ばせています。
本当はバカバカ言われて奮起しなければならない所なのですが、
それどころか馴れっこになって、バカバカ言われないと1日が始まらない⁉心地良い響きにさえ感じる今日この頃なのです。
実は警視監の父親が心配するのには、訳があるのです。
警視監夫婦には、中々子供が授からず、結婚して6年目にやっと授かった可愛くて!可愛くて!仕方ない一粒種の息子なのですが、4つ年上の妻が35歳過ぎの子供の為なのか⁉
実は成績も普通だった為に、全く気が付かなかったのですが?
小学3年生の時に、先生から「落ち着きが無く?授業中に立って歩く事がチョクチョクありますよ?それから忘れ物も本当に多いです。お母さんしっかり見てやってくださいね⁉」と注意をされた事があったのです。
その為⁉念の為に病院で診てもらったのです。
すると、先生から「自閉症スペクトラム障害【発達障害】です。」と診断されたのです。
「エ~ッ家の息子が?勉強も普通に出来るのに?」
本当にショックを受けたものです。
又それより何より不憫で不憫で…………
その為⁉鬼のデカとの異名を持つ父も、このバカ息子には、可哀想に思い、尚更メロメロで周りが見えなくなっているのです。
一方の田中のオヤッサンは、ノンキャリアの叩き上げで今の階級は警部補!
鋭い切り口で仕事は指折りに出来るオヤッサンなのですが?上司の忠告も無視―――!己の道を突っ走るタイプの為、出世からは程遠い存在なのです。
現場畑をコツコツ40年!カミソリのオヤッサンの田中で呼ばれる、切り口の鋭いヤリ手なのですが。…………
超エリ-トの父親を親に持つ山田には、ホトホト困り果てています。
「可愛い奴なんだが???あんな奴じゃ、反対に足を引っ張っているだけなんだよな~」肝っ玉母さん風のかっぷくの良い妻に愚痴っています。
「あなた何言ってんのよ~!今こそ出世のチャンス❕ゴマをすって!ゴマを!万年警部補返上のチャンス!万年警部補さん⁉頑張って❕」嫌味タラタラな物言いをされています。
それもその筈❕……はす向かいの警視庁キャリアさんは、新婚さんで今の階級は警視正の32歳・・・その差は歴然!
「ああ~全く分かっちゃいないな~」妻にはせっつかれ踏んだり蹴ったりです。
気分転換のハズが、最近めっきり酒の量も増えて…………
「ああ~ア……」 続き 1328