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『焦牙の嵐』のあとがきのようなもの

本作は私にとって大きな挑戦でした。
もともと別の異世界転生を中心に歴史ファンタジーを投稿していましたが、まさか近現代(舞台設定は1980年頃)を舞台にした国際スパイアクションに踏み込むとは、自分自身でも予想外でした。

転機となったのは、中国にある、とあるカジノのある街を旅したときの体験です。街を歩けば異なる言語の看板が並び、多様な国の料理が入り混じる路地裏や華やかな歓楽街、古ぼけた生活空間、さらには華やかさとは程遠い住民街。その雑然とした光景は、私が描いてきた“異世界”とも通じる鮮烈な“異文化の交錯”を感じさせ、そこから「現代でも混沌とした世界観は描けるのではないか」というアイデアが生まれました。

主人公であるフォックスの正体を最後まで曖昧にした構成には、執筆しながらも迷いがありました。しかし“謎”こそがキャラクターを際立たせ、読者の皆様にも自由に想像を膨らませていただけたのではと思っています。

また、舞台となる架空の島“龍牙島”には、現実のアジアが抱える複雑な情勢を投影しています。ただし特定の政治的立場を表明するのではなく、あくまでもフィクションとしての面白さを追求しました。その結果、様々な国の文化や思惑が入り乱れる“もう一つの世界”として、少しでもリアリティを感じていただければ幸いです。

本作を書き上げることで、私自身の創作の幅が大きく広がったと実感しています。これからも新しい試みに挑みつつ、別で書き進めている方を主軸にしていこうと思います。

ちなみに、今回の作品はあくまで単発作品で続編は書かない予定です。

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