「第一回きつねマンドラゴラ小説賞」の講評が出たのにあとがきを書いてないことに気がついたので、今更ながら書き連ねることにしました。
改めて、主催の狐さんを始めとした評議員のみなさま、お疲れ様でした。
そして講評をありがとうございました。
拙作「マンドラゴラの種」は下記アドレスからお読みください。
https://kakuyomu.jp/works/1177354055361778642*
■この作品における「マンドラゴラ」について
・薬効成分がある
・作り方は「(聞き取れない言葉)の民」にだけ細々と受け継がれてきていた
・現在は老人が育てているものしか流通していない
・種は未精通の「(聞き取れない言葉)の民」の少年からのみ取れる
・肥料になった人間の姿をベースにして両性具有じみた形になる
・ろくでもない使い方をする金持ちもいる
こんなことを思いつつ書いてました。
悪趣味の塊です。
■物語について
ウィキペディアのマンドラゴラのページの「無実の罪で処刑された人間の精液や尿がかかったところから生えてくる」という記述を元に色々こねくり回して書きました。
はじめは「無実の弟が兄の目の前で処刑され、そこからマンドラゴラの生えてくる物語」になる予定でしたが、自分の性癖に素直になって書いた結果があの内容です。
よりねっとりとして邪悪な作品になったかと思います。
でもマンドラゴラは悪くない。
夢オチとは書きましたが、本当に夢オチなのか、別の悪夢が始まっているのか、そもそも「私」が途中で狂ってしまっていたのか……お好きな解釈をしてくださって構いません。
個人的にはメリーバッドエンド派です。
マンドラゴラを弟と思い込んで兄は幸せに暮らしましたとさ。
ところでこういう作品はジャンルとして分類するときにどう書けばいいんでしょうか。
「異世界ファンタジー」以外のジャンルが思いつかないです。
胸糞…?
■キャラクターについて
あえて誰にも名前をつけませんでした。
私、弟、老人、一緒に仕事をする男、石を投げてきた少年、弟似のマンドラゴラ。
みんな属性が違うので、それが名前代わりになってくれます。たぶん。
老人は自身の被差別民という境遇を非常に憎んでいたので、汚い手を使ってでものし上がり、あの立場まで成り上がりました。
あくまでも「自身の被差別民という境遇」を憎んでいたので、同じ被差別民でも他人はただの道具としか捉えていません。
老人自身が満足できれば構わない。
そんなエゴイストの塊の人間でした。
しかし「被差別民が立派な家を建てるほど成り上がった」というのは事実だったので、「あの町に行けばどんな人間でも地位を上げられる」という噂が立ってしまいました。
それに釣られてやってきたのがあの兄弟です。
きっと「(聞き取れない言葉)の民」は同じように、またはもっと残酷な方法で老人に利用されていったのでしょう。
本当に邪悪な物語ですね。
■講評を読んで
お三方から下記のように評されて満足です。
「陰鬱でエロティック」
「ちょっとえげつないタイプのお話」
「とても暗く、重たい」
胃もたれするような作品だったかと思いますが、しっかり読み込んで下さり有難い限りです。
「(聞き取れない言葉)の民」が差別された理由は、下記の通りです。
よくある?やつです。
・少数民族
・マンドラゴラを育てたり魔術に長けていたりする故に不気味に思われた
・誰もが真っ黒な黒髪
・よく分からない
未知のものを怖がるのは仕方がないことです。
でも名前をつけると未知ではなくなるのでみんな安心します。
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最後まで読んでくださりありがとうございました。
マンドラゴラは悪くない。