(以下の文は、単行本『踊れ!文芸部』のあとがき的なものです。いちおう書いてみたものの、単行本には収録しませんでした)
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あとがき
高校って、漫画やドラマではきらきらと描かれているけれど、自分もまわりも冴えないなあ、と現役高校生であったとき思っていた。
あの時代から遠くなって、セピア色した懐かしフィルターをかけて、美しく捏造しようと頑張ってみても、やっぱり冴えない。そもそも俺、あのとき深夜ラジオのハガキ職人やってたし! 昼間、だいたい寝てました。青春っぽいといえばぽいけど、もちっとなんとかできたんじゃないかな、自分よ。
だからといって高校を舞台にした小説を書くにあたり、当時を塗り替えるべく? きらきらしたものを描くつもりなんてさらさらなかった。
可能性の無駄遣いをして過ごしている冴えない連中の楽しい日々を書こう。どれだけしょうもなくとも、かけがえのない日々を。そして読者に「こいつらばかだなあ」と読んでいるあいだ和んでもらおう。
でも書いているうちに、想像しなかった展開になっていきました。
こいつら、冴えないなりに、きらきらしていやがる! なんだよ、心配して損した。
もしやこれは、かつて働いていた書店の同僚、さとしん(仮名)が、モデルの一人だったせいかもしれません。高校時代、ヲタ芸をしていたと聞いたときは、「ふーん」と淡白なリアクションで流してごめんね。高校小説を書こうと決めたとき、急に思い出し、アイデアが生まれました。
そして執筆途中に、別の場所で知り合った、元人力俥夫のイケメンさいとーさんもかつて打ち師だったことが判明。自分の周りに二人も! これ絶対ヲタ芸に呼ばれてるだろ、俺……、と勝手に確信しました。この本を出したら、実はやっていた、とまた誰かがカミングアウトするんじゃないか、と思うと心躍ります。
素晴らしい表紙とキャラクターを描いてくださった、福満しげゆきさん、ありがとうございます。自分が辛い時期、『僕の小規模な生活』を読むことが、支えの一つでした。そんな方に、自分の書いた人物たちを具現化していただけたことは、なんだかサプライズのプレゼントを頂いたみたいに感動しています。陽キャじゃないから一生サプライズなんてされね〜な、と思ってたのに!
「カクヨムネクスト」連載時、運営のみなさん、そして『はてな』のMさんに大変お世話になりました。感謝しかありません。
デビュー作からずっと担当をしてくださっているMさん。いつもシャープで的確なアドバイス、そして抜けている自分をサポートしてくださり、ありがとうございます。次も、面白いことをしましょう。
昔高校生だった人も、いま高校生の人も、「うん、俺のアオハル(笑)だって悪くないな」と読み終えて思っていただけたら、嬉しいです。
書いていた一年間、ずっと頭の中で男子校生たちが騒いでいて、ほんとうにうるさかった。うるさすぎて他の仕事ができなかった。やっと解放された! と肩の荷が降りたはずなのに、なんだかとても寂しいです。困ったな。
2024年 猛暑(に書きました) キタハラ
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と、『踊れ!文芸部』のSS(ショートストーリーってやつ)が明日15日、そして発売日の18日、こちらの近況ノートで公開します。
15日には「なぜ彼らはフェスティバルに選ばれたのか!?」
18日は「フェスティバルPR動画撮影現場での彼らのアホぶり」
が!
本編を読んでから、読む前でも、ぜひ!