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不可視の一等星


「夜空を見上げるハルカ」

「んー……、うん」

「宇宙の黒い部分はなぜ黒いのだろう、宇宙が無限に広がっているのなら、無限に存在する星々の光が重なることで遠い部分の」

「そこまで考えてないよ」

「そう……何か探してるの? 見つけたの?」

「後者かな」

「何を見つけたのさ」

「ナツが変なことを言うから言い出しにくくなっちゃった」

「え? 宇宙の黒い部分のこと?」

「じゃないけど、そうだなぁ。言うなれば、不可視の一等星」

「……なにそれ」

「うーん……海図もコンパスも無かった時代に航海士が星を読んでいたでしょ?」

「読んでいた。今もかな」

「それとは違うんだけど、その星が見えたから、少なくともあと半年くらいは歩けそうかなって」

「ごめん何のことだか……、海なのに歩くの? それに、見えないから“不可視”なんじゃないの?」

「さあねー」

「もしかして、話すつもりがないということかい」

「かもしれないねー」

「私に隠し事とはハルカも大きくなったものだ」

「仲良くなったのだよナツ」

「……ホントに?」

「本当に」

 本当に、あなたには感謝しているよ。

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