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【永輪ドラ補足】心理学タグについて

「永劫輪転ドリームランド」には「発達・臨床・比較心理学」のタグをつけてます。
これは「本作を読めばそれらを学べる」とか「これらの知識を活用して書いてる」とかではなく、「恐らくこの作品の根底に流れているものを何かに当てはめるならそんな感じかな?」という意味合いでつけさせてもらってます。


心理学と聞くと皆さんは何を思い浮かべますか?


人の心が読めるようになる学問?
心理カウンセラー?
○○な人は✕✕タイプ! という類型論?


私は、人間のことを様々な角度から理解しようとする学問だと思っています。


人の行動や認知機能を扱う心理学領域は、追試可能な実験(他の人が同じ条件で同じ実験を行った場合に同じ結果が得られる)を行うなど、理系の色合いがあります。
記憶や錯視、触二点閾(←コンパスの鉛筆部と針部の二点で肌に触れたとき、その間隔が広ければ二点として感じられるが、狭ければ一点として感じられる。その間隔を測定する。体の部位によって値が異なる)等、取り扱います。
(臨床心理学にも科学的根拠に基づいた支援の流れがあります)


↓ここまで読んだらあとはオマケみたいなものです。(私の思う心理学と世間でウケる心理学が違うことは伝わったと思うので)↓


各心理学領域について、呼び方が色々あるし、別の学問領域とかぶるところもあるしで、細かい説明は難しい……というか私にはできません。専門家じゃないし。三三┏(逃;・・)┛
とりあえずタグに挙げた3領域について、大まかなことだけ書かせていただきます。



○発達心理学
教職介護福祉とかを勉強したことのある方は触れたことがあるんじゃないでしょうか。子育て経験のある方も。
人は年齢とともに変わっていくので発達的に捉えよう、人間を理解するには発達的な視点が必要、という領域です。人って個人差はあるけど、年齢によって共通してみられる精神的な特徴や身体機能のレベルがありますよね。
この「発達」は個体が生まれてから死ぬまでを指します。

永輪ドラだと紬希たちは中学生で、自分の生き方を模索したり、友達との関係が強くなったりする時期です。
心と体が不安定で(ホルモンめっちゃ出てます)、色んな問題を抱えやすい時期でもあります。


○臨床心理学
説明がすごく難しいです。
その人自身の世界(生き様、今までどう生きてきたか、これからどう生きていきたいのか)を理解しようとする領域。こころの問題の解決を援助する領域。でしょうか。

注意したいのは、臨床心理学と精神医学は異なるという点です。臨床心理は「感情」などの心の面、精神医学は「脳内物質」などの医療の面からアプローチします。
また、カウンセラーは「このクライエントは(精神疾患)かも」と思っても診断したり、勝手に決めつけたりすることはできません。診断をすることができるのは医者です。(※医者とカウンセラーを兼ねている専門家もいます)

永輪ドラでは「色眼鏡」とか「客観的事実と違っていても、本人にとってはまぎれもない『現実』(主観的事実)」とか度々書いたので、読んでくださった方にはもしかしたらそういうイメージ(?)が刷り込まれているかもしれません。


○比較心理学
ヒトと動物の行動や認知能力を比較することによってヒトの心の働きを理解しようとする領域です。ヒトと動物の共通する心の働きを明らかにしたり、異なる部分に注目することでヒトの特徴を明らかにしたりします。
想像しにくいと思うのですが、例えば「鍵刺激(特定の刺激に対して特定の生得的行動を起こす。例:イトヨという魚♀のお腹の膨らみを見た♂は繁殖行動を起こす)」とか「猿は鏡を見たときに映っているのが自分だと認識できるか?」とかを扱います。

永輪ドラには地球外生命体であるモルモルが登場します。モルモルはヒト側にも動物側にも属している存在ですが、奴を通していろんな人間を見てみることで、何か改めて発見できることがあるんじゃないかなと思っています。


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いかがでしたでしょうか。
恐らく、完結後の雑記(https://kakuyomu.jp/users/kimid0r1/news/16817330652971530300)に書いた「紬希という少女の事例」というのにも関係する内容だったんじゃないかと思います。
なんで心理学タグがついているのか、何とな~く伝わったらいいなぁ。



以下は近況ノートまとめ。
【第一・二章】
https://kakuyomu.jp/users/kimid0r1/news/16817330648635801464
【第三章+海外ルーツの子どもとは?】
https://kakuyomu.jp/users/kimid0r1/news/16817330650201746579
【第四章】
https://kakuyomu.jp/users/kimid0r1/news/16817330651508590784
【完結のお知らせ】
https://kakuyomu.jp/users/kimid0r1/news/16817330652171661510
【表紙のフィクション表記について】
https://kakuyomu.jp/users/kimid0r1/news/16817330653270749576
【スペクトラムというタグについて】
https://kakuyomu.jp/users/kimid0r1/news/16817330653448042922
【スピコン後の紬希について】
https://kakuyomu.jp/users/kimid0r1/news/16817330653448451789

4件のコメント

  • 後れ馳せながらえりどらの完結お疲れ様でした!

    読了して数週間経った今でも、紬希ちゃんや優芽ちゃん達が心の中にいます。素晴らしい追体験でした。

    【永輪ドラ】完結後雑記+五章ネタバレを拝読し、きみどりさんが挙げられた捕捉を近況ノートでぜひ拝見したいと思っておりました。
    すぐにコメントしたかったのですが、私に勇気がなかったのと失礼をしてしまうのが怖くて今日になってしまいました。

    今回の心理学タグについても、たいへん興味深いです。
    それで、きみどりさんにお聞きしたい!
    と思ったことがあるのですが、こういった質問は失礼にあたったり、場違いで的外れかもしれないので、不適切でしたら削除しますね(^-^;

    お聞きしたいことはズバリ、心理カウンセリング(というのかな?)は心を矯正するものなのか?です。

    傾聴というものもなのですが、年老いた元教師の知人が、カウンセリングも傾聴も(自分以外の)人を変えることだと信じている節があって、本当にそうなのかな?と疑問なのです。

    きみどりさんは、ご自身は専門家ではないとおっしゃられていますが、カウンセリングと傾聴についてどのようにお考えですか?
    えりどら終盤の紬希ちゃんと優芽ちゃんの対話が、なんとなくカウンセリングや傾聴ってこの事なのかもと思ってしまっている私です。

    そんな私は、以前、その元教師の知人のすすめでカウンセリングを受けたことがあります。
    ずっと腑に落ちないというか釈然としないままでいます。
    きみどりさんのお考えを知りたいです。
    よろしかったら教えていただけたら嬉しく思います。
  • >>久保田さん
    近況ノートにまでお付き合いいただき嬉しいです^^
    コメントありがとうございます!

    心理カウンセリングにはいろんな手法があります。
    考え方としては「カウンセラーが助言をしなくてもクライエントは自ら色んなことに気づいて、良い方に変わっていく力をもっている」っていうのが主流だと思います。
    でもそれは一旦置いといて、
    カウンセリングって心の問題を解決するために受けるってイメージが強いかなと思うんですが、もっと気軽に受けてもいいものです。
    ストレス発散のために喋りにいくぞ! とか、友達に自分の愚痴を聞かせるのは申し訳ないからお金でサービスを買う! とかいってカウンセリングに行ってる人、います。カウンセリングを上手く使って、心の調子をコントロールしてるわけです。

    傾聴自体は「相手の話を否定せず共感、理解しようとしながら聴く」ことなので、心を矯正するものではないと思います。
    例えば行動療法は、簡単に言うと「行動を変化させる(このことを『学習』と言います)」ものなので、そういう意味では人を変えると言えるかもしれません。(行動にも定義があるので、人と言い換えることは本当は出来ないと思いますが)

    参考になりましたら幸いです~
  • お考えを教えていただきありがとうございます。
    なるほど~と思いました。

    実はこの質問をしたのは、私の主観ですが、元教師の知人が自分には人を変える力があると信じているようなので、カウンセリングも傾聴もそういった(誰かを矯正するような)ものではないと論破してやりたくて、そのヒントを期待して、してしまったものです。
    私自身の心理学やカウンセリングに対する見方が変わっていくようです。
    自分自身が受けたいと思ってカウンセリングに行くものだと思って良いのですね。
    傾聴は、元教師の知人が「傾聴ボランティア」をしていて、その傾聴するべき相手に「よし、変えてやるぞ」と意気込んでいたので、本当はどういったものなのかを知りたかったのです。

    私も、論破したいとか、人の心の言葉を無視するようなことを想像していてちょっと反省です。

    参考になりました!
    知識をアップデートできた気がします。
    ありがとうございます。

    また私の知らない世界を小説でも、近況ノートでも、教えていただけたら嬉しいです。
  • >>久保田さん
    「私の主観ですが」と久保田さんも前置いているとおり、いただいたコメントの内容だけではその方が実際どういう考えを持っているのかわからないので、私には何って言えないですね(><;)
    ただ、「論破してやりたい」と言うからには、久保田さんは「知人さんは間違っている」という立場なのかなと思いますが、
    相手に色んな質問をして「どうしてそういう考えに至ったのか?」を明らかにしてみたら、もしかしたらそれなりに納得できる理由や根拠が発見できるかもですし、
    久保田さん自身が傾聴ボランティアをやってみる、というのも発見があって面白いかもしれないなって勝手に思いました。
    (どんな人に、どんな目的で傾聴するかで、得られる体験は変わるとは思いますが)

    心理士やカウンセリングについては、例えば日本とアメリカでは社会的地位や捉え方が違うので、一度検索してみると良いかもです。

    需要あるなしに関わらず書いた近況ノートでしたが、何かしらお役に立てたようで良かったです^^
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