1話目から壮大な喪失と郷愁が描かれ、2話目には一番身近な友人との思い出が。
そしてそれらを包み込み、見守るような宇宙の存在。
3話目には人間と人工知能の関係性が書かれていますが、人間というものは”人間でないものに人間らしさを見出してしまう”不思議な感性があるのですよね。
人工知能の返答は学校の道徳の授業にも入ってきていて、言いづらい、教えづらいことを上手く的確に話してくれます。
人間独特のしがらみがないから、当たり前のことを当たり前に言える。
若い世代は身近な大人よりも、人工知能に頼って生きていくのかもしれません。
宇宙を感じた時の安心感やらわくわく感やら、そして失われたことに対する想いとか絆とか、そういう人間の本質までうまく書かれていますので、SF体験が底辺の私でも楽しめました。
SFお好きな方ならより深く感じ入れる密度のお話なのではないでしょうか。
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一万字ですので、ちょっとそういう作品に触れたいという方にはうってつけでは?