天川が好きで、天川作品に嫉妬している。
あんな滑らかに物語を運ぶことができない。繊細な描写もできない。毎回そう思わされるので、ついつい期待値が上がって暴れてしまった。
まず、ぽんぽん丸センセんちに寄ってから天川宅に行ったのがまずかった。普段猫を被っているのだが、あのウチに行くとついつい生来の虎気質が出る。僕は、センセんちでひとしきり暴れたのち、その勢いを余していたのだ。
天川との関係に、甘えていることはわかっている。小説が友情を繋いでくれたが、小説というものは自分の皮膚を捲り上げて、内臓を見せるようなものだろう? そこで偉そうに語られたもんじゃ、さすがの天川も、とうとう僕を嫌いになるかもしれない。
嫌われたくないんだろうか。そんな女々しい気持ちを持つくらいなら、最初から優しい人間になればいいのに。虎になってしまうと、途端にそんなことを忘れてしまうのだ。
きっと、天川は許してくれる。そこまで計算している自分も、また嫌だった。
▼ 婆不孝娘▼
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