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鷲賀祖舘夕さんへのお返事。

この近況ノートは、鷲賀祖舘夕さんの小説、
アシュリー嬢は呪われてしまった!? への応援コメント、その返信の返信です。
普段なら作者様の近況ノートに投下するのですが、今回はまったく書かれてなかったので、自分の近況ノートを使うことにします。

なお、とても面白い小説ですので、気になる方はぜひご一読を(ダイマ)。
https://kakuyomu.jp/works/16816927860963436539

>そうですかぁ。読者置いてけぼりの独りよがりムーブをやってしまっていましたかー。他人がやっているのを読んで、ああはなるまいと思っていたのですが、やはり自分ではなかなか気が付けないものですね。

いえいえ、私を含め、誰でもそんなものです。
それにこれはあくまで、私個人の感想なので、特に問題ないという読者も大勢いるかもしれません。
ただ私としましては、あくまで私の視点の感想と希望を書くしかないわけで。
それをどう受け止められるかは、当然作者さま次第です。

>作者的には、初登場時点から間の抜けた憎めない奴、みたいに思っていたキャラなので、改稿するとしたらそれが読者にも伝わるように描写を厚くする方向性かなと考えています。

いえ、ここは問題ないです。私もそう思っていました。
むしろ今回で、そこのキャラに違和感を覚えたが故の苦言のつもりでした。

>アシュリーが悪魔にうっかり同情してしまう点も、それだけ彼女がお人好しなのだという描写に一役買うだろうぐらいに思っていたのですが、ちょっとキャラ造形にディフォルメが過ぎて嘘臭くなりましたかねぇ。

うっかり同情も、とてもアシュリーらしいので、常なら問題視しません。

>事件の発端であるヴィタリスに騙される点からして、救い難いぐらい間抜けなので、そこを彼女の善性が故であるかのように見せるためのアリバイ工作でもあったのですが、犯罪と同じく、なかなか隠し果せるものではない(より墓穴を掘る)といった感じでしょうか。

ここについても、私個人はそういう性格なのだろうと受け止められます。
ここまで読ませていただいて、アシュリーがお人よしという部分も含めて、
彼女の思考と齟齬を感じたことはないですし、あってもアシュリーならそうだろう、という許容範囲でした。

改めて、私の感じる違和感について説明します。
大本の問題は、悪魔の語る謎の部分が、読者にまったく説明されていない点で、問題はそこだけだと考えます。

具体的に台詞を抜き出すと、

>「退屈で退屈で、気が狂いそうになるんだ。もうあんなのは嫌なんだ。この沼に沈んで完全に光が塞がれても、意識を無くすまで相当時間がかかるんだ。

> だから、それまでちっと話し相手によォ……。お前なら……、お前がいれば気が紛れるんじゃないかと……、ヘヘッ、魔が、差しちまった」

前段はまあよいとして。
後段の、アシュリーを閉じ込めた理由は理解しますが、魔が差しちまった?
ということは、この時点で悪魔は後悔してるんですかね?
ここでアシュリーを開放するムーブなら理解できますが、そうでもないので、読者的に??となります。

>「……へッ……、誰も彼も鏡の中に引き摺り込むとか、そんな都合良くできたら世話がねェって話よ……」

ふうむ。何か悪魔特有のルール的なものがあるっぽい。
でも今までそんな話はなかったと思うので、「後で回収される伏線かな?」と受け止めました。この場面で説明する必要もあまりないですし。

>「どうして、なのです? 何故、そんな衰弱を?」
>「……フェフェッ、天罰……かもなァ。魔が差した。魔が差したんだ。俺様、悪魔らしいのによォ」

ここのアシュリーの疑問は、読者と同じですね。
魔が差したから?天罰?悪魔らしい?
察するに、こいつは何かの理由で悪魔に変えられた存在?
天罰ってことは神様的な何かに? 魔が差すと問題が?
ここら辺、読者的には初めての話で疑問だらけですが、とりあえずこれらについて、これから悪魔が説明してくれるのかな?それでもちょっと急だな・・・みたいな感想です。

>「嘘ばっかり吐いても許される人間とは違ってなァ。俺様ァ、約束を破れないようにできてるんだ。破れないようにできてる……。そうだとばかり、思ってたんだが……」

ここの説明も、かなり理解不能です。
約束を破れないようにできてる、は唐突ですがまだ理解できます。
問題は最後の「そうだとばかり思ってた」で、これ自己否定なんですよね?

>「へッ、できねェと思ってたことが意外に何とかなることもあるんだなァ。こんな方法があったとは……」

多分ここに繋がるのでしょうが、読者にわかるのは、
「約束は破れないようにできてると思っていたが、意外に何とかなる。こんな方法があった」
で、こんな方法って何?や、嘘つくと天罰って、そもそも悪魔ってどういう存在なの?とか、実は悪魔に変えられた人間なの?とかの疑問が、一切解決されないまま、消えてしまいます。

正直、敵国が悪魔に関与してて、後々この謎めいた発言の伏線が解決されるのかな?と勘ぐってしまったくらいでした。

>「すまねェな。お前には最初から、悪気はなかったんだよなァ。ただ、馬鹿正直で、疑うことを知らない、根っからのお人好しな……」

に続くアシュリーの許しも、読者が謎を呑み込めない間だと、
「いや許すとかの前に、謎めいたこと言いまくってたのスルー?」
という感じに受け止められるというか。
これが、悪魔の言葉にアシュリーが突っ込むも、悪魔は答えられず息絶えてしまい、主を失った鏡を前に、許しの台詞を言う・・・とかなら、少なくともアシュリーへの違和感はないと思います。悪魔の発言は謎ですが。

私がコメントで書いた、「最後まで悪魔ムーブを貫くべき」というのは、
鷲賀祖さんのおっしゃられる、「間の抜けた憎めない奴」を貫くべきという意味です。最後に謎を残したりせず、アシュリーを話し相手にすべく鏡に入れるも、ミハイルに邪魔されて失敗。ちくそうナイト気どりかよ!とか悪態ついて一人泥に沈んでいく。怒るミハイルだが、アシュリーは意外にも感謝の言葉を贈る。こんな感じの方がすっきりすると思うんですが、どうでしょう。

悪魔が死ぬべき理由というのは、私は先の展開を知らないのでわかりませんが、読者的にはここで死ぬ理由に乏しいですし、その理由もいきなり出てきたものなので、唐突かつ違和感が生じたものだと思います。

以上、一読者の感想の詳細説明でした。
応援コメントで、文字数気にしてざっくりした指摘になってしまい、申し訳ありません。
問題を指摘する以上、きっちり書き込んで、詰めないといけませんでした。

ここは鷲賀祖さん専用に置いておきますので、返信などご自由にお使いください。
もちろん、話を打ち切る権利は作者である鷲賀祖さんにあります。
話の続きも、引き続き追わせていただきます。

12件のコメント

  • 梶野カメムシ様
    この度は、拙著に関して多大なお時間と筆を割いてご助言いただき、誠にありがとうございます。
    わざわざご自身のスペースに応答の場をご用意までしていただいて大変恐縮です。

    さて、ご指摘の件ですが、確かに最初にいただいた梶野さんの応援コメントについて、自分の方に誤読があったようですね。
    前振りが不足している為、悪魔が急に弱音を吐いて「救済されるべきキャラ」になる点に違和感を持った、というように受け取っておりました。

    それよりももう少し、細かな部分──悪魔が破滅していった構造が、読み手にとって大変分かり難いため、主人公たちだけで納得して勝手に盛り上がっているように見えてしまう、という問題だと再解釈しました。


    先ず、本当はこのように伝わることを見込んでいた、という作者の意図をお知らせします。
    1.悪魔の力は万能ではない。
    2.性格も未熟で間違いもする。
    3.長い孤独を大変怖がっている(=深い眠りに落ちるか、或いは、もう消えてしまいたい)。
    4.人間を害することができないように造られている(嘘を吐けない、騙せない、傷付けられない)。
    5.ただし、悪魔自身「4」がどういう意味かを正確には理解していなかった。「できない」ように縛られていると思っていたが、実際は「やったら罰せられる(死ぬ)」という意味だった。
    6.悪魔自身が「5」の勘違いに気付いたのは、アシュリーから「嘘吐き」と言われ、力が弱まったのを自覚した後。

    それ故の「そうだとばかり、思ってたんだが……」であり、「こんな方法があったとは……」なのです。
    4~6の情報がおおよそ、ここで初出なのは分かっていましたが、だからこそ、全部丸っと説明するのはダサいだろうと考え、会話の断片から察してもらう構成にしたのですが、枝葉末節ならばともかく、クライマックス的な展開を見せている場面で、「分かり難く」してはドラマ作りとしては本末転倒でしたね(別に謎めいて語らせたつもりもなく、このくらい書けば分かってもらえるだろうという甘えがあったのだと思います)。

    事前にアシュリーとのコミュニケーションを密にすると、このような誤解によるドラマが起こしにくくなるので、悪魔に関するこれらの情報を小出しにしておくのも限界かなと思います。
    今は、前後のどこかでアシュリーの心の声として、「~ということだったのかぁ(気付き)」という補足を入れる改稿を考えていますが、いかが思われますか?


    あとは補足ですが、作中の「悪魔」と呼ばれる存在は、大昔に生まれた人造のホムンクルス的な存在を想定しています。
    ヴィタリスがアシュリーに聞かせた大昔の伝承も、実はそれ自体は本当で、その国を救った奇跡には鏡の悪魔が関わっている設定で考えています。当初はありがたがって祭られていたのに、行き違いとか、悪い人間に騙されるとかを繰り返して、廃寺院に放置される結果となったのでしょう。
    性格がねじ曲がったのも、それと長い放置年月が原因かと思われます。

    嘘が吐けないという誤解をした理由は多分、創造主的な奴に「人間に害を成してはいけませんよー」ぐらいのふわっとしたことを言われていたのだと思います(可哀想)。
    悪魔はそもそも「悪いことはできない」ようになってると思ってるから、「やろう」として「実行できたこと」はつまり「悪いことじゃなかったんだ」と曲解していったんじゃないかと。
    今回アシュリーに憑り付いて、色々試しているうちに、あれ?これ結構グレーゾーンがあるみたいだぞ、という気付きを得て、できるならやってみるか、試してみるか、ということで最後の犯行に臨み、「やったぜ、できた!」と思いきや、アシュリーの「嘘吐き」発現で、まさかの「あれー?そういうことぉ?」という感じなので、作者的にはやっぱり可哀想な愛おしい奴です。

    また、悪魔の能力が及ぶ範囲についてですが、原則として力を及ぼせる相手は、呪った相手というか、憑り付いた相手(多分本来は守護する意味合いだったと思われる)限定で、だから、鏡本体から離れてもアシュリーの近くには現れることができたし、ミハイルなどそれ以外の人間を鏡の中に入れたりすることはできなかったという理屈です(魔法士の男を操れたのは、鏡の中だったのと、あいつ自身が現実と狂気の中間に位置していたようなものだから、というこじ付け)。

    ちなみに、悪魔が本当に人間を害することができないのかどうかは、作者的にも判断を保留しています(仮にアシュリーが騙されたと思わなかったら、悪魔は死ななかったのだろうかという問題)。
    はっきり、そういう設定ですと明言してしまうと、矛盾や粗が目立つ結果となりそうで、それは美しくないなと感じるので、そういう設定なのかなーと薄っすら想像できる程度に留めました。
    あまり、そこに文章を費やすと、それこそ物語の主題がズレたりボケたりしそうですし、どこまで書けば良いかは本当に難しいですね。


    ご迷惑ついでに厚かましいお願いですが、上記の内、それは本編にも入れ込んだ方がいい、寧ろなかったら意味が分からないという情報があればご指摘いただけると幸いです。
  • 問題提起したのは私ですから、もちろん協力しますよ。
    それにこの手の実のある議論、大好物ですのでw

    >それよりももう少し、細かな部分──悪魔が破滅していった構造が、読み手にとって大変分かり難いため、主人公たちだけで納得して勝手に盛り上がっているように見えてしまう、という問題だと再解釈しました。

    その解釈が正しいと思います。
    私もちょっと応援コメでは書き方を誤りました。
    お手数おかけします。

    1~6を明示していただき、少なくとも私個人は、作者の伝えたかった情報が把握できたと思います。

    とりあえずこの時点で疑問なんですが、
    4.人間を害することができないように造られている(嘘を吐けない、
    というのは、アシュリーにかけた呪いは含まれないんですかね?

    普通に考えて、悪意をもって攻撃しているとしか思えないので。
    あと、これは後でも触れることになりますが、この性質は「悪魔」というイメージと完全に真逆です。
    もし的確な説明があっても、読者が納得するか、かなり怪しいところだと思います。

    5.「できない」ように縛「やったら罰せられる(死ぬ)」という意味だった。
    という部分も同じで、むしろ「悪いことができない存在」として作られており、悪魔らしからぬどころか、話の発端から矛盾が生じてしまいます。


    その他の設定も、裏設定的に色々考えられているのだなあと感心しましたが、同時に、上手い人にありがちな罠に引っ掛かってるようにも思います。

    ズバリ言うと、「詰め込み癖」です。
    上手い人、特にしっかり考えて話を作る書き手は、何かと凝った設定を考えるのが得意で、せっかく考えたのだからと作中に出そうとしがちです。私も覚えがあります。

    ですが、思い出してください。
    アシュリーは呪われてしまった? は、ライトファンタジーのはずです。
    読者が深く考えず楽しめるよう、あえてわかりやすさ最優先で始められた作品だったはずです。

    そもそも、ライトファンタジーは、ハイファンタジーやSFと異なり、既存ファンタジーのフォーマットを用いることで、簡便化を図ったジャンルです。
    たとえばこの小説にも魔法が出てきますが、「まああるんだろうな」と納得できるのは、「いわゆるファンタジー世界」だから、という共通認識があるからのはず。

    悪魔についても同様で、おそらく読者の大半は、「まあいるんだろうな」と思い、よくある小悪魔イメージのキャラを想像して、読み進めてきたのだと思います。というか私はそうです。

    ですが、この悪魔の設定については、いきなりSFかハイファンタジーに路線を変えたような、竹に木を継いだような印象です。
    唐突に出たことで、その印象がさらに倍増しになっています。

    この小説がハイファンタジーで、悪魔についても伏線を抑えてあれば、この設定でも(突っ込みどころはあるにせよ)そこまで強く否定しなかったと思いますが、この展開では苦言せざるを得ません。

    もちろん、テンプレな存在に一味加えたタイプの使い方は多く存在します。同じドラゴンでも作者次第で、色々なオリジナルがあったりです。
    ですが、それらはみな、フォーマットを生かした上での設定です。

    ライトファンタジーで読者が想定するイメージを、まるごと否定するような設定を、しかも後付けで出してくるのは、一番よろしくない手法だと思います。イメージの変更が追いつかないのです。
    伏線があったり、ゆっくりと違いを読者に伝えていれば、また違うかもですが。

    ホムンクルスなどは、むしろリアル寄りのファンタジー用語で、アシュリーの暮らす世界にいきなり出すと、拒否反応が出かねないとも思います。


    >ご迷惑ついでに厚かましいお願いですが、上記の内、それは本編にも入れ込んだ方がいい、寧ろなかったら意味が分からないという情報があればご指摘いただけると幸いです。

    迷惑とはまったく思いませんが、私のアドバイスはどちらでもなく、むしろ逆です。

    私が書くとしたら、という話になりますが。
    上記の設定は可能な限り小説には出さず、展開は読者が納得する方向に差し替えます。

    ご承知だと思いますが、シンプルな作品でもっとも重要なのは引き算です。けっして足し算ではありません。

    たとえば一例ですが。
    「嘘」が理由で悪魔が死ぬよりも、「アシュリーを助けた」のが理由で死ぬ方が、悪魔のイメージに沿いますし、納得しやすくありませんかね?
    「人間を助けることができない」という設定なら、いきなり言われても「悪魔っぽい」ので、納得しやすいですし。

    悪魔は、撃たれたアシュリーを(偶然ですが)、鏡に入れて助けています。
    これを悪魔の故意にして、後からアシュリーが気付いたり、悪魔自身もひねくれた言い訳をしながら、死んでしまう・・・とかなら、個人的にはすんなりと納得できるのですが。

    まあ例はともかく。
    「難しくしない」ことと、「読者を置いていかない」こと。
    この二点の上手さ、丁寧さがあればこそ、私はここまで、この作品を読み続けられました。
    普段なら、テンプレファンタジーはタイトルの時点で避けてたのに、です。

    高度な設定や考証を入れることで、珠玉のようなその上手さに傷がつくくらいならば、まるごとオミットするのも選択肢では、と思う次第です。勇気はいると思いますが。
  • 引き続きお知恵を拝借いただきまして恐縮です。
    身近に(ネット上でも)このような相談ができる相手がおらず、一人心細く書き綴っているので、このような機会をいただけるのは本当にありがたいです。

    さて、改稿の方向性のお話についてですが、

    >読者が深く考えず楽しめるよう、あえてわかりやすさ最優先で始められた作品だったはずです。

    大変、耳の痛いお言葉でございました。
    そうなのですよ。それは確かにそのとおりで、梶野さんからご提案いただいたように削ぎ落とす方向で考えた方が正しい(初志貫徹)のだと思うのですが、少なくとも自分自身が楽しめるレベルの深さは欲しいという強欲とのジレンマを抱えております。
    ライトを好む層は、どうぞ水面でバシャバシャ楽しんでもらえばいいけど、その気になれば多少潜って泳げる程度には考えてありますよ、というのが、まぁ、理想なのです(素人の厚顔無恥お許しください)。

    総論的な話はひとまず置いておき、
    自分にとってこの作品の鏡の悪魔は、最初から単純な悪魔ではなく、その前提の造形で全体のプロットを組み立てているので、彼の根幹の設定を変えてしまうのは身を切るような辛さがあります。
    そこを変えるとしたら、全部別の話として書き直さない限り気持ち悪くて仕方がない精神状態になってしまうのです(仮に辻褄は合うのだとしても)。
    端的に言うと、創作者として「譲れないライン」がそこにあるという感じですかね(生意気ですが)。
    ですので、できれば悪魔の設定は変えずに、見栄えだけ取り繕って違和感なく読めるエンタメ作品に仕上げたいというのが、オーダーとなります。
    今の心境としては、42話と43話の間に一節、悪魔の過去編を挟んでお茶を濁そうかなあ、などと考えているのですが……。


    ちなみに、悪魔が最初に掛けた呪いは人間を害するものではないのか、という疑問に関してですが、あれを呪いだとするのは(捻じ曲がった性格の)悪魔目線の言い分なのであって、実際は複雑な条件の付いた魔法効果の一種に過ぎない(直接害を為す呪いではない)のだと、作者的には納得しております。
    実際問題、その呪いによって彼女は救われていますし、アシュリー自身、騙されたー!と思う沸点がかなり高いために、それまでの悪魔の行動では、反則の笛が鳴らなかったのではないでしょうか(まあ、その辺は大分ご都合的なのは否めませんが)。

    また、そもそも最初に鏡の悪魔のことを悪魔と決め付けて呼んだのもアシュリーからで、その悪魔の方も、お前がそう思うならそれでいいよ的な受け答えをしているわけです。無きに等しい非常に薄っすい伏線ですが、一応このときから、所謂完全なステレオタイプの悪魔ではないよ(姿形以外)、という匂わせはしていたということで……。
  • いえいえ、何度も言いますが、こういう話大好きなので、苦にはなりません。
    というか、相談相手のいない人、やっぱ多いんですねえ。
    私もさほど多いとは言えませんが……
    逆に、こういう話を揉めずに話せる相手が見つけられたというのは、お互いに僥倖だったとも思えます。
    社会人になると、リアルで探すのはほぼ不可能ですからねえ。
    ありがたや、ありがたや。

    まあ、設定を変えたくないという作者の気持ちもわかりますw
    せっかくのオーダーですし、早速やってみましょうか。

    悪魔の設定をまったくいじらず、すんなり読者が飲み込めるように展開を改善する、ですね。
    正直、悪魔が死ぬ展開前提で話していたので、最新話で悪魔生きてると知った時には、「これは挽回ワンチャンあるかも」と思っていたので、ある意味、渡りに船でした。

    問題点の洗い出しをしておくと、

    1,アシュリーの驚きと突っ込みが薄く、読者の感覚と乖離する。
    2,悪魔の台詞が謎のまま終わっている。
    3,悪魔の情報が難解で、世界観から逸脱気味

    私がこれを解決するなら、ですが。

    1,アシュリーの驚きと突っ込みが薄く、読者の感覚と乖離する。

    ここは、43話に「アシュリーの驚きと謎の言葉への突っ込み」を入れればよいかと思います。
    ……と思って再確認したら、加筆されてるんですね。
    大分よくなっています。ここに追加を加えるのは難しそう。

    個人的には、これでもまだ「悪魔の言ってたことは何なの?」という突っ込みと「そもそも呪いは解けてるのか?」という疑問が新たに湧いてきたので、この部分を44話冒頭、ノインが話しかけてくる前に、アシュリーとミハイルの会話として差し挟んでみてはどうでしょうか。

    内容は、ミハイルが悪魔の消えた謎を訝しみ、アシュリーは自分にもわからないと答える。呪いは結局解けていないのか?と尋ねるミハイルに、アシュリーは・・・みたいな感じ。


    2,悪魔の台詞が謎のまま終わっている。

    悪魔の台詞は、彼が生きていて説明する場面が後に与えられるなら、帰る必要はないと思います。
    43話には、42.5話を挿入予定と書いてありますが、私でしたら、最新の47話を悪魔がアシュリーに、あの時の言葉の謎と自身の生涯について語る回に充てると思います。

    内容は、このノートで書かれた設定を前提に。
    悪魔の死に際の疑問点を残さぬよう、しっかりアシュリー(何ならミハイルにも)に突っ込ませ、丁寧に潰しておく。

    3,悪魔の情報が難解で、世界観から逸脱気味

    どの程度設定を開示するかはお任せしますが、「昔過ぎて悪魔も忘れ気味」などのフィルターを駆使すれば、あまり違和感を生じることなく、見る人が見れば作者の設定が透けて見える、くらいの描写に落とし込むことは可能だと思います。
    ホムンクルスと書かずとも、「最初の記憶はフラスコの中だった」みたいに。

    あまり解説しすぎない方がよいとは、老婆心ながら書いておきますw
    話が難しくなりすぎる感じなら、悪魔がイマイチ覚えてないとか、曖昧なムードでごまかす方がよいかと。
    情報の取捨選択は必要です。この後、使うかもしれない内容なら書くべきでしょう。


    今気づきましたが、悪魔の設定を生かした展開の方が、タイトル回収という意味では正解かもしれません。

    >無きに等しい非常に薄っすい伏線ですが、一応このときから、所謂完全なステレオタイプの悪魔ではないよ(姿形以外)、という匂わせはしていたということで……。

    なるほど。これは使えますね。
    悪魔が自分語りする際に、悪魔自身にこれ言わせるとよいです。
    それでアシュリーが「ああ、そう言えばそうだった」と思い出せば、読者の忘れている伏線になりますし、説得力も上がると思います。


    ともあれ、私から言えるのは以上ですかね。
    ここまでで疑問点や細部の質問があれば、どうぞ。
    鷲賀祖さんくらいの筆力があれば、多言は無用とは思いますが。
  • 梶野さんも執筆に時間を取りたいところでしょうに、がっつりとご相談に乗っていただきまして、感謝の念に堪えません。

    >1,アシュリーの驚きと突っ込みが薄く、読者の感覚と乖離する。

    なるほど。その認識も薄かったです。アシュリーの物分かりが良すぎて不自然だったんですね。

    >私でしたら、最新の47話を悪魔がアシュリーに、あの時の言葉の謎と自身の生涯について語る回に充てると思います。

    43話の入りまでの緊迫感(スピード感)を潰したくないので、自分もできることならその辺に置きたいのですが、肝心の43話を読んでいる間中、読み手にぽかーんとされては敵わないので、挿入はやはり42.5話かなあと考えます。
    途中で話者が変わる展開は、あまり美しくないですが仕方ないですね。

    >あまり解説しすぎない方がよいとは、老婆心ながら書いておきますw

    そうですよね。どうにか最小限で、説明臭くなく伝えられるように頑張ります。


    本当にありがとうございました。
    他人様のスペースに置いたままにするのも心苦しいので、この「近況ノート」は適宜削除して頂いて大丈夫です。
    やりとりのログは大事に保存させていただきます。
  • >43話の入りまでの緊迫感(スピード感)を潰したくないので、自分もできることならその辺に置きたいのですが、肝心の43話を読んでいる間中、読み手にぽかーんとされては敵わないので、挿入はやはり42.5話かなあと考えます。

    ここはまあ、アシュリーの反応がしっかり読者とシンクロしさえすれば(そして悪魔がのちに過不足なく説明すれば)、ご心配の点は大丈夫だと思いますね。

    下手すると、42.5話そのものに違和感が生じる危険もあり得ますので。
    まあ出し方によるとは思いますが、どっちがいいのか…まあお手並み拝見しますw

    ともあれ、何かの参考になれば幸いです。
    ログは記念に残しておきます。まあいずれ流れていくでしょうしw
    物語もクライマックス近そうですし、がんばってください。
  • ふーむむ…ひとまず完結まで様子見ましょうか。
  • 大変お待たせしました。
    40話周辺を精読していたので、時間がかかってしまいました。
    追加の描写などが増えていたので、改めて読み直す必要があったので。

    で、本題に入る前に、一つ問題を発見しました。
    多分加筆によって発生した問題だと思うのですが、43話の以下の箇所です。

    > やっぱりそうか。
    > また鏡の中に引き摺りこまれたんだ。
    > そうしないって約束したのに。
    > わたしはちゃんと約束を守ったのに!

    ここ、アシュリーの主張は、「鏡の中に引きずり込まないと約束した」ですが、悪魔はそんな約束はしていないはずです。
    (かなり探したんですが、もし見落としでしたら申し訳ない)。

    アシュリーが悪魔にした約束は「キスの呪いを解く」で、
    ここについては悪魔は曖昧な返事に終始していますし、この段階で呪いが解かれたかどうかはアシュリーにはわかりません。

    どのみち、ここでの「嘘つき」の指摘は正当性が感じられないので、改訂した方がいいかと思います。

    例えば、「キスの呪いも解除しねえ」と悪魔に言わせるとか。
    これなら、悪魔は確実に「嘘つき」です。


    閑話休題。

    ■42.5話について感想

    もう一度、40話から通しで読み返してみましたが。
    やはりここでの場面転換は、話の流れを断ち切っていて、あまり好ましくないと感じます。

    ここに挿話する意味の一つに、「悪魔がアシュリーを閉じ込めた理由」の説明があり、そこは確かに正解に思います。

    > できることなら、ずっと一緒にいて、話をしていたいと思う。
    > だが人間は短命だ。

    ここら辺は悪魔の心理の理解を手助けする、よい追加です。
    ただ、最後に彼女の死を示唆するくだりはやりすぎかな、と思いました。
    人間が短命というのは、おそらくは悪魔視点の寿命の話だと受け止められますが、病気の彼女に限定した場合、多少なり意味合いが変わってしまいます。
    悪魔は病気を治せないの?に興味が向かうというか。

    ここは、
    > 当時の彼は、その執着を叶えるすべを知らなかった──。
    で話を締めた方が、絶対によいはずです。
    読者の視点を悪魔の心情にフォーカスさせたまま、次話に続けられるのが利点です。

    もしくは彼女が亡くなる際、悪魔との最後の会話シーンを
    42.5話にあてるとかに、私ならしたと思います。

    あと、

    > できることなら、ずっと一緒にいて、話をしていたいと思う。

    ここら辺の吐露こそが、現在の悪魔でも本音だと思われますが、
    そうであれば、「暗闇で眠るまでアシュリーといる」ではなく、
    「明るい鏡の中でアシュリーといる」を選びそうなものかなと。
    この辺も、過去と対比して、多少、疑問が残る部分ではあります。
    ま、悪魔のひねくれ故とも考えられますが……


    肝心の43話の台詞の疑問点の解消についてですが、
    前回、謎だった43話の台詞を抜き出し、対応してみました。

    >「……へッ……、誰も彼も鏡の中に引きずり込むとか、そんな都合良くできたら世話がねェって話よ……」
    ん-、ここは非対応ですね。
    まあ本筋に絡む話でもないのでいいと言えばいいんですが、
    逆に何かの伏線かと思われそうなので、私なら悪魔の性質に触れない、誤解のない言い回しにすると思います。

    >「嘘ばっかり吐いても許される人間とは違ってなァ。俺様ァ、約束を破れないようにできてるんだ。破れないようにできてる……。そうだとばかり、思ってたんだが……」

    ここはこの後に追加されたアシュリーの思考で、およそ読者が納得できるようになりました。
    まあ謎は謎なんですが、そこはアシュリーも同じなので違和感はないです。

    >「へッ、できねェと思ってたことでも、意外に何とかなることもあるんだなァ。人間みたいに自分で死んじまうことはできなくても、こんな方法が、あったとは……」

    ここも台詞を改訂したことで、理解できるようになりました。

    >「待て! アシュリーに掛けた呪いを解いていけ。くたばるのはその後だ」

    ここは説明あるべきと前は言いましたが、ラストシーンにかかるから
    曖昧にした方が正解かもですね。
  • ■全体の感想

    ・良いところ
    何度も繰り返しますが、物語と文章の丁寧さが抜群です。
    令嬢もの、入れ替わりものというテンプレ形式でありながら、インパクト重視の行き当たりばったりの雑なストーリーにせず、作者なりに工夫し、物語を構成しているのがありありと感じられました。

    次々と入れ替わりながら、新たなミッションに挑む展開は、ちょっとしたゲームのような没入感があり、オリジナリティでした。

    ほどよい文章量、場面転換のテンポ、投稿の早さ(ここは羨ましい)も長所ですね。
    ストレスなく読める物語が、ほぼ連日更新されていくのを追うのはとても楽しい経験でした。

    アシュリーのキャラクターにも嫌味がなく、お人よしながら馬鹿でもなく、絶妙な距離で読者の代理を果たしてくれました。

    後述の瑕疵を除けば、最後までリズムを狂わせることなく完走された点も高評価。
    普通はどこかで迷走したり、読者が不安になるものですが、見事な安定ぶりでした。
    ラストは淡白ではありましたが、短い映画を見終えたような感慨を覚えました。


    ・悪いところ
    まあ言うまでもないですが、一連の悪魔の箇所ですね。
    改訂が加えられ、だいぶ読めるようになりましたが、それでもまだ引っ掛かりを覚えます。
    悪魔の設定に感じる、拭いきれないご都合感。
    唐突過ぎる悲劇展開。伏線なしの悪魔の死。
    この辺りの展開については、序盤から伏線を設け、
    あの場面で読者が納得できるよう、早くから仕掛けておくべきでした。

    あと、読み返して改めて感じましたが。
    悪魔とアシュリーの会話は思った以上に少なく、総じて殺伐としています。
    ここも、どこかでアシュリーが悪魔との距離を縮めるくだりが、もう一つくらいあってもよかったかなとは思いました。

    ミハイルにも同じことが言えて、もう一つ二つ、イベントがあってもよかったなと。
    アシュリーに惚れこんだきっかけや、王子との確執故の苦悩が感じられる場面が、もう少しあれば、いっそう感情移入できたかな、と思う次第。
    まあ、私がミハイル贔屓なだけかもですがw

    ・総評
    大変面白うございました。
    総合点は十分に平均以上、星2です。
    悪魔関係の問題を完全解決できれば、星3差し上げようと思います。

    ここからは、あえて欲を言えば、という話ですが。

    今回の小説は、鷲賀祖さんにとって、「テンプレを自分のツボに合わせた作品」だと、
    どこかで拝見した気がします。
    読者が気軽に読める文章と内容の調整なども、実験的に試されたのかなと感じました。
    その点に対しては、申し上げた通り、私の評価は十分に高いものです。

    一方で、「テンプレの上で鷲賀祖さんの個性を出す」という部分については、やや弱いかなとも感じました。
    入れ替わり展開の見事さなどは特筆に値すると思うのですが、ここの指摘は、主に物語の主軸部分。
    ここは全体的に素直過ぎて、意外性には欠けていたと思います。
    王道かつ安定路線という意味では成功しているのですし、ある意味バーターではあるんですが。

    もし、次にまたこの方向の作品を書かれる際には、この丁寧さと安定感をキープしつつ、より鷲賀祖さんらしいオリジナリティを取り入れてみては如何でしょうか。
    鷲賀祖さんのそんな作品も読んでみたいと思います。
    案外レアなんですよねー、そういう小説。


    長々と書かせていただきましたが、アシュリーへの感想は以上です。
    長い間、執筆お疲れさまでした。しばらくはゆっくりしてください。
    私も言いっぱなしにならないよう、自作の研鑽に励みたいと思います。
  • 折角、お時間を割いて読み込み、ご助言をいただけていたのに、お返事が遅れてしまい申し訳なかったです。
    まさか、こちらのコメント欄に続きが投稿されていたとは……^^;

    書き手サイドからは見えづらい部分について、率直なご意見をいただきまして、本当に感謝の言葉もございません。
    頂戴したご指摘を参考に改稿してみたいと思います。

    ちなみに、自分の投稿テンポが速かったのは、最初から最後まで、一旦全て書き上げてから投稿を開始しているからです(見回した限り、そういうタイプの書き手が殆どいないことに驚いています)。
    日々やっていたのは、ルビ打ちと、再推敲、セルフ校正だけなので、特段筆が速いわけでもないのですよ。

    梶野さんの「神風VS」の方も、引き続き応援しております。
    お世話になったバーターとかではなく、純粋に感心しているし、先が楽しみだからです。
    自分の方も今後もし、外野だからこそ、という気付きがあれば、ご指摘・ご支援させていただこうと思っております。
    どうか見事最後まで完走されることを祈念しております。
  • ああ、伝わってませんでしたか。こちらこそ申し訳ない。
    長編書き終えた後で、ゆっくりされてるのかと思っていましたw

    読者として言える私の意見は以上で全てですので、後は改訂を楽しみに待つことにします。
    改訂終了されたら、こちらででも一言ください。通しで読み返しに参りますので。改訂は通知来ないのが痛し痒しなところです。

    ああ、完成してから投稿されてたんですね。
    終盤はそんな感じを薄々感じていましたが、それは中途の改訂難しいところでしょう。私も考えてアドバイスすべきでした。
    私も短編はそういう書き方ですが、全体をまとめた上で更新できるのは利点ですよね。反面、途中からの路線変更は難しいですが。
    いずれにせよ、私はダントツで筆が遅いので、羨ましいのは変わりませんw

    応援ありがとうございます。
    完結までまだまだかかりそうですが、最後まで読んでいただけるよう、微力ながら全力を尽くしたいと思います。
    これからもよろしくお願いします。
  • 👍
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