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煙突と姫君

ちょっと間が開きましたが、数日前に新作掌編をアップしました。
またジャンル不明の小説です。なんなんだこれ。

一応純文学のタグつけましたが、エンタメ一筋の作者は、純文学の定義がイマイチよくわかっておりません。
純文学といえば格調高く、読者を無駄に選び、テーマが読み取れなくても「読者が悪い」と言い張れる…なんとなくそんな印象があります。いやまあ、私が読んでも面白いと思えた純文学もあるんですけど。

この作品が生まれたきっかけは単純で、最近他所様の感想を書くのに熱心だったからです。
プロフの通り、嘘やお世辞を感想では言わないと誓っている私は、思うところがあっても、望まれない限りは感想を書かない主義で来ましたが、辛口希望という免罪符付きの企画を見つけ、勉強がてら順番に感想を書きまくってました。可能なら参加全作を網羅する勢いで。

そういう条件で読んだので、普段なら触れないジャンルも目に入り、自分の作風とは違うけど、これはこれでいいなという新たな刺激を受けたわけです。

そうでなくとも、この手の「わかる人だけに刺され」的な作品は、年に一回くらいは書いてました。毎回ほぼ不評なんですが、吐き出したくなる時がある。人様の作品に刺激を受けて、そのスイッチが入ったのかもしれませんw

個人的には、結構気に入ってる作品です。
小説と詩の中間的な感じで。言葉選びも我ながら嫌いじゃない。

まーでも、想像通り評価は芳しくありませんなw
気にせず、次行きますか、次!

6件のコメント

  • 率直に申し上げて、この作品を「年に一度の純文」と紹介されていることに、ちょっと意外な感じがしました。
    それはもちろん、「こんなの純文じゃない」という意味じゃなくて。逆に、そう言われてみればいくらか川上未映子入ってるような印象があるのですけど、それもともかくとして。

    私の感覚では、この作品は「カレー風呂の呪い」や「替え玉直訴」とおおむね地続きの文章だという気がするのです。などと書くと、色々とネガティブな方向に受け止められそうですが、両作とも一語一語を非常に切り詰めた作法の作品で、どうかすると単語と単語を綱渡りするような気分で読まないと奥にある含意に手が届かない、という、いわば手作り職人の逸品のようなイメージがあるのですね。で、今作はそういうのに加えて遊び心あふれる暗喩をトッピングしてみたショートショート、というふうに読めましたので、それはそれで梶野さんらしいな、と受けとめたのですが。

    もちろん、一文一文の短さは明瞭な特徴だったので、「ポエムのような」と聞いて合点がいった面もあります。が、「思い切って作風を変えてきましたね」と言えるほどの"純文シフト"とは見えなかったというのが、正直な気持ちですね。

    ですから、評価に微妙なものが感じられたとしたら、シリアスと笑いの境界線を、読み手の側が今ひとつつかみそこねている、という、そちらの問題ではないかと。
    主人公は主人公なりにシリアスしてるみたいなんですが、最後の一行など、これははっきりとトホホ感を押し出したオチ方で、私などは一種の艶笑譚と受け止めるのですけど、どこかしら「笑っていいんだよね?」と迷ってしまう、そんな構成なんですね。

    難解なんだけど中身は爆笑ものの、生真面目さ自体が笑い要素の下ネタ作品か。
    赤裸々な性を扱いつつ、内容自体は真面目な、人生劇場風の作品か。

    後者ならはっきり純文系と言えるんですが、どっちを狙ったのかな、と最後まで判断つきかねるところが感じられるのです。

    あとは、そうですね。やっぱり、「灰かぶり姫」って何の隠喩?というところで、みなさん煮えきらないのではないかと 笑。
    ラスト一行が多義的だと、どうしても説得力が弱いですよね。で、これは私が申し上げた通り、ここで解答編など公表できなさそうな比喩表現なんで(作者が性的な比喩を入れたつもりなら、ですが)、ますますくすぶってしまうわけで。

    だから、そういう意味では梶野さんが意図した事自体は、伝わらなかったわけではない、と思うのですよ。
    むしろそれ以外のところが、と私は分析するのですが。
  • 改めての感想ありがとうぎざいます。いやツッコミですかねw

    仰られるように、今作は技術的にはカレーや替え玉の延長線上にあります。
    ただ、私の定義におけるエンタメでは越えるべきでない線を超えていているので、「これは純文学の類かなあ」と思ったわけです。

    その線が何かというと、「読んでスッキリする」です。
    作者がそれを意図して書いているかどうかというか。
    例えば、ミステリーとして書いたカレー風呂は、内容的にはぼかされていますが、作者内には明確に真実があり、読み取ってもらいたいわけです。なので、「伝わらない」という声に応じてレシピを書いたりしました。この場合、悪いのは作者だと考えます。(まあ読解力が極端に低い読者だったりしたらアレですが)

    ですが、今作には、そもそも真実がありません。ぼかされているだけです。
    純文学で言えば「藪の中」みたいなもので、犯人探しより謎そのものがテーマだとも言えます。まあもしかしたら、芥川龍之介の中には真実があったのかもですが。

    ですので、カレー風呂と違い、「よくわからん」という感想をいただいても、「そうですか、フフフ」と返すのが、正しい純文作法だと私は思っています。偏見ですがw

    ぶっちゃけるとこの話の筋書き、エンタメにしても全然面白くないと思います。
    ありきたりだし起承転結もない。普段なら没ネタです。
    でも、背徳感のある雰囲気は妙によいし、寓話的な言葉遣いでまとめれば、小話としては作品として成立するかな? 味は薄くても香りで食べられる的な。という計算から生まれた産物かなと思います。

    あれです。絵を描く感覚に近いというか。普段のエンタメが漫画なら、これは一枚絵の感じ。テーマはなくもないけど、絵そのものを感じてもらいたいと言いますか。
    だんだん下手くその言い訳にしか聞こえなくなってきましたがw

    一応、寓意というか暗喩の裏に込めた意味もなくはないので、解説しておきます。
    こういうことするから、純文学が書けないんだと思いますw

    煙突と煤、暖炉と灰:男女の。まあわかりますよね。
    廃教室:これはそのまま。二人の関係性の示唆。
    灰かぶり:これの解釈が一番の難題なんだと思いますが。
    灰かぶりというのは、シンデレラの和名です。
    シンデレラは、望まれて得た幸福な結婚を迎える物語ですが、
    灰かぶりというヒロインの名前は、継母に呼ばれあだ名で罵倒です。
    今作の主人公が自身を灰かぶりに喩えるのは、自嘲と皮肉を込めたものです。

    テーマ的には「パパ活と結婚の違いって何?」くらいを作者は想定していました。
    フェミニストに睨まれそうです。
    より高尚な深読みをしていただければ、したり顔でうなずくと思います。


    湾多さんに言われて、読んだことのなかった川上未映子のデビュー短編、冒頭だけ読みました。
    むおお、全然ついていけん。これは純文無理ですわー。
  • 「煙突と姫君」改題を無理にねだったような形になってしまって恐縮ですが、なるほど、お話をうかがえて色々と納得できました。
    どうも、私の方が深読みと言うか、勘ぐりすぎてたようです 汗。
    「何しろ梶野さんの作品なんだから、最後のこれは濃厚なブラックオチなんだろう」という、無理な読み方をして、却って首をひねることになってしまったようです。本人が「そういうサービスではない」と念を押しても、「いやいやそんなはずは」と勝手に上がり込んで、全然色気のない店作りを見て勝手に怒り出す客みたいな 笑。

    梶野さんの他の作品を知らない読書家が相手だったら、案外望まれた通りの反応を返してくれるかも知れませんね。私も次からこの手のお断りが書かれていた時は、切り替えて読むようにいたします。

    ちなみに川上未映子は私も読み込んでいるわけではなくて、まあ正直、他の女性作家の有名どころに名前を替えても同じことが言えると思うんですが、彼女らの作品のメインキャラに見受けられる今どきの女性っぽさ、というものが、今作にはよくにじみ出ていたような気がした、とそれが言いたかっただけです。いわく、あけっぴろげに性を語りながら、結構シニカルで、世の中に対してどこか上から目線なんだけど、自身の人生に対してはとても健気、というようなスタンスの女の子ね。
    もっとも、この辺は実際の女性に判定してもらったら「全っ然違う」とか怒られそうな気もするんですけど w。
  • お返事遅れて申し訳ありません!
    内容考えている間に、うっかり失念してました。

    深読みされすぎてましたか。
    確かにブラックといえばブラックですが、そんな捻ったオチでもないですよね。
    というか、この場合はより深い下が隠されているか、という意味ですかね?
    そういう意味ではご期待に添えていなかったかもw

    ああ、なるほど。
    女性キャラについては、なんとなくそんな理解で正解だと思います。
    このキャラどっから来たんだと自問してみると、最近読んでた底辺テーマのドキュメンタリーかも。パパ活とか奨学金問題とかで、ドツボにハマってる若者の体験談だと、こんなキャラが多い感じなんです。おっさん目線だと他に手段あるだろうと思ったりもするんですが。

    まー、私も昨日、身内感想組(女性)から、この作品ボロクソに言われたので、実際違うかもしれません。幾つになっても、女は永遠に謎のままですなーw
  • お。
    これのことかしらん🤔

    お二方のやりとりもザッとですが読ませていただいて(ほんとにザッとw)、梶野さんの「絵」というのは、本当にそれが定義として正しいかというのは置いといて、私の感覚に近いですw

    そもそも純文学の定義なんて、当の純文学作家が各自それぞれだったりしますからねえ。「新しい何かを付け加えること」「語りえぬものを語ろうとすること」「新しい倫理を作ること」etc, etc.

     梶野さんが考える純文学が本当に純文学とカテゴリとされるべき作品かどうかは、肝心の作品をまだ読んでない私には判断はつかないんですが、テキトーにカクヨムつまみ読みしかしてない私なので他にも潜んでいるかもしれないけれども、ちゃんと純文学やろうとしてるのが猿野さんぐらいだったんで、あんなレビューを書いてしまったという経緯があるわけで。
    いうても猿野さんもよくわからんものとか微妙なものも書いてますがw

    彼の感想欄に梶野さんの感想を見かけたので知ってるものとして書きましたw

  • うえるかーむw
    はい、これのことです。
    純文まじめに書いてる人には鼻で笑われそうですが。

    絵って感覚が近くて、伝わってるようでよかったです。
    SLOTMANさんの方が、確実に色々読んでおられそうですし。

    まあ定義すら怪しいところを含めて芸術であり純文学、ってとこですかねえ。
    私は自他共に認めるエンタメ野郎ですが、純文というか文学的な魅力というものはやはり感じるものあって、複合的に両方のいいとこ取るのが理想ですね。上質な漫画がそうであるように。

    姫君と煙突、ぜひご一読を。言って1,000文字ないですし。
    SLOTさんの感想、よかれ悪しかれ伺いたいですねw

    猿野さん読み始めたのは、SLOTさんのレビュー見てからですよ。
    こんな人がカクヨムにはいるんだと驚きました。SLOTさんも含めてですが。



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