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  • 創作論・評論

三作目『失われた都市ジャンタール』を書くにあたって

 前回からの続き。

 世界はできた。だがそれだけでは物語にはならない。
 物語を描くにあたっていくつか決めなければいけないことがある。
 まず題名だ。

 これはべつにこだわりなどなかった。
 閉ざされた迷宮と都市、その状況を描くことだけが目的だったからだ。
 名前はテキトーに決めた。
 伝説上の仏教王国シャンバラに武器のカタール。
 その二つを混ぜてシャンタール。だが、響きが悪かったので濁点をつけてジャンタールにした。
 迷宮都市ジャンタール。ひとたび立ち入ったら二度と出られない閉鎖空間だ。
 ここからの脱出を物語の目的と定めた。

 つぎに決めたのはジャンタールの成り立ち。
 物語には直接関係ないけども、そこは考える必要がある。
 で、でてきたのが旧文明の遺産。ありがちなパターンだが、これが一番しっくりきた。

 人類は汚染された地球に住むことが難しくなった。
 宇宙への移住を計画する。が、別の世界が存在することを知る。異世界だ。
 だが、異世界は一方通行、送り込んだ探索部隊は誰一人無事を確認できなかった。
 そこで、どんな環境でも耐えうる生物を作り出そうとする。その実験場がジャンタールだった。
 しかし、猶予はなかった。
 けっきょく人類は地球を放棄し、AIに管理されたジャンタールは何千年も残り続けた。
 みたいなバックストーリー。
 本編は剣と魔法のファンタジーなんだけどね。突き詰めるとSFになるという。

 そうして『失われた都市ジャンタール』と題名が決まったわけだ。
 
 題名のつぎは登場人物を決める必要がある。
 最初に作ったのは誰だったかな?
 たしかアシューテだったか?
 主人公が都市に立ち入る切っ掛けを作った人物だ。これを初めに設定した。
 ちなみにこの人物、物語終盤まででてこない。

 つぎに作ったのが主人公。名前はパリトにした。
 毒物のパリトキシンから命名。
 最強の剣士で、アシューテを助け、迷宮から脱出することになる人物。
 くしくも旧文明が作り出そうとした生命体だったよね、みたいなオチだ。
 ストーリーとエンディングから逆算してできたわけだな。

 あとはストーリーを成り立たせるために人物をいくらかつくる。
 まず、脱出不可能なら誰も都市の存在知らなくね? とか、ずっと閉じこめられてて死なないのはおかしくね? とか整合性をたもつためだな。

 とはいえ人物もカカシでは面白くない。
 それぞれが過去で間接的に関わりあっていて、行動原理に結び付くよう設定した。
 なんで主人公を裏切ったとか、なんで邪魔するのとか。

 まあ、このへんにしとくか。
 こんな話聞いたところで面白くもなんともないだろうしな。

 つぎはこの作品を書くにあたって失敗したこと、こだわりすぎても意味なかったな、みたいなことを伝えられればいいかなと思います。

2件のコメント

  • >こんな話聞いたところで面白くもなんともないだろうしな。
    少なくとも僕は大好きです。本来大事なことですから、他の書き手さんがどう作っているのかというのは勉強になります。
  • 吾妻藤四郎さんありがとうございます。
    そう言って頂けて安心しました。

    この作品は思い入れが強いので、書きはじめたら止まらないんですよね。
    これを完結させた時点で、いつやめても大丈夫って思いです。

    吾妻藤四郎さんの作品ももちろん読ませていただきますよ。
    久々に気になる作品に出合えたって感じです。
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