前回からの続き。
世界はできた。だがそれだけでは物語にはならない。
物語を描くにあたっていくつか決めなければいけないことがある。
まず題名だ。
これはべつにこだわりなどなかった。
閉ざされた迷宮と都市、その状況を描くことだけが目的だったからだ。
名前はテキトーに決めた。
伝説上の仏教王国シャンバラに武器のカタール。
その二つを混ぜてシャンタール。だが、響きが悪かったので濁点をつけてジャンタールにした。
迷宮都市ジャンタール。ひとたび立ち入ったら二度と出られない閉鎖空間だ。
ここからの脱出を物語の目的と定めた。
つぎに決めたのはジャンタールの成り立ち。
物語には直接関係ないけども、そこは考える必要がある。
で、でてきたのが旧文明の遺産。ありがちなパターンだが、これが一番しっくりきた。
人類は汚染された地球に住むことが難しくなった。
宇宙への移住を計画する。が、別の世界が存在することを知る。異世界だ。
だが、異世界は一方通行、送り込んだ探索部隊は誰一人無事を確認できなかった。
そこで、どんな環境でも耐えうる生物を作り出そうとする。その実験場がジャンタールだった。
しかし、猶予はなかった。
けっきょく人類は地球を放棄し、AIに管理されたジャンタールは何千年も残り続けた。
みたいなバックストーリー。
本編は剣と魔法のファンタジーなんだけどね。突き詰めるとSFになるという。
そうして『失われた都市ジャンタール』と題名が決まったわけだ。
題名のつぎは登場人物を決める必要がある。
最初に作ったのは誰だったかな?
たしかアシューテだったか?
主人公が都市に立ち入る切っ掛けを作った人物だ。これを初めに設定した。
ちなみにこの人物、物語終盤まででてこない。
つぎに作ったのが主人公。名前はパリトにした。
毒物のパリトキシンから命名。
最強の剣士で、アシューテを助け、迷宮から脱出することになる人物。
くしくも旧文明が作り出そうとした生命体だったよね、みたいなオチだ。
ストーリーとエンディングから逆算してできたわけだな。
あとはストーリーを成り立たせるために人物をいくらかつくる。
まず、脱出不可能なら誰も都市の存在知らなくね? とか、ずっと閉じこめられてて死なないのはおかしくね? とか整合性をたもつためだな。
とはいえ人物もカカシでは面白くない。
それぞれが過去で間接的に関わりあっていて、行動原理に結び付くよう設定した。
なんで主人公を裏切ったとか、なんで邪魔するのとか。
まあ、このへんにしとくか。
こんな話聞いたところで面白くもなんともないだろうしな。
つぎはこの作品を書くにあたって失敗したこと、こだわりすぎても意味なかったな、みたいなことを伝えられればいいかなと思います。