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そして三作目へ

 前回からの続き。

 ついにきました三作目。
『失われた都市ジャンタール』
 やっと書きたかった物語である。

 わたしは子供のころから空想していた世界があった。
 仲間を募り、地下迷宮を探索する。
 迷宮には無数の怪物やワナが待ち受けており、ある者は名声を、またある者は巨万の富を夢み、足をむける。
 そんな世界。

 まあ、ウィザードリィだな。
 子供のころ体験した物語に影響を受けるなんてものは、みなあるものだろう。
 実際感想には「まさにウィザードリィ!」みたいなものもいただいた。

 ……しかし、私がもっとも影響を受けたのは、実はウィザードリィではない。
『ザ・ブラックオニキス』
 日本最古のRPGと言われているパソコンゲームだ。

 自分でキャラをつくり迷宮を探索する。
 ゲーム中ではストーリーなんてものは一切ない。
 力と富の象徴、ブラックオニキスをみつけるため、ただただ迷宮を探索していくだけだ。
 魔法すらない。イベントなんてもちろんない。
 自分のキャラが言葉を発することだってない。
 エンディングすらもなかった。
「ONYXヲ ハッンシマシタ」とでるだけ。その文字すら誤字ってるレベルだ。

 情報がないぶん想像する。
 たんなる記号でしかないキャラたちだが、ここに来るまでどんな人生を送っていたのだろうか? と。
 ドアにはPUBと書かれている。だが、ただそれだけ。絵もなければ酒が提供されることもない。
 それでもここで戦いの疲れを癒してたんだろうなと。
※このゲーム、食事の概念もなければ、宿屋に泊まるという概念もない。
 WIZ以上にシンプルだ。
 違うことと言えば、生命力が棒グラフで表示されていたこと、キャラの全身画像があったこと、装備をすればその全身画像に武器防具が描かれていったことぐらいか。

 そうやって、ないものを想像していくうちに、独自の世界観みたいなものが構築されていく。
 そこへ時間がたつにつれ、別のゲームであったり、映画やドキュメンタリーなど様々なものを体験して、さらに形を変えていった。

 そうして、出来上がったのが『失われた都市ジャンタール』だった。

つづく。

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