• 異世界ファンタジー
  • 創作論・評論

そして書籍化へと

続き。

 O氏の『田中タダシ(41)建国記 『中世ヨーロッパ風なんてキツすぎる!』は順調な滑り出しでした。
 すでに彼には多くのファンがついていました。期待値とでもいうのでしょうか投稿してすぐにポイントを入れる人も多かったように思います。

 あと、タイトルに集客効果があった。
 転生物は下火になりつつありましたが、まだまだアクセスはそれなりにあったのです。

 ところが、この田中タダシ。
 途中から雲行きが怪しくなります。感想欄に辛辣な意見が出始めるのです。
 というのも、この物語。
 なろうテンプレらしく、そこそこ権力のある家の子供に転生(憑依)します。
 ですが、世界観は通常のものと違いました。
 いくら正しいことを説こうとも、民衆は耳を傾けません。
 知識チートなど知るか、屁理屈こねてんじゃねえとシバかれる世界なのです。

 まあ、中世なんてこんなもんですよね。
 
 主人公はまずは我慢。じっと力をたくわえます。
 そして、機が熟すと……
 シバきます。
 そう、腕力でいうことを聞かそうとするのです。
 力には力ですね。元オッサンなので、正しさだけでは人は言うことを聞かないことをよく知っていたのです。

 また建国記というだけあって、戦争によって領土を広げます。
 その戦いにはチートなどありません。食料もありません。
 だって貧しいから他に攻め入るのです。

 食料がなければ戦争はできません。兵士だって食べるのです。
 じゃあどうするか。
 他国の村を焼き討ちします。
 食料を奪い、家に火を放ち、軍の士気をあげようと村娘を犯します。
 
 そりゃあ読者から文句でるわいな。
 しかし、わたしは思いました。ああ、いつものO氏だなと。

 そんなかんなで、読者の評価は真っ二つに割れます。
 ランキングに幾度ものったと思われますが、やっぱり人気爆発とはいきませんでした。あたりまえだ。

 それでも田中タダシは、コアなファンを獲得しつつ、着実にポイントを稼いでいきます。
 万に達する勢いです。
 はっきり言ってわたしのでる幕はありません。
 深海からボーっと眺めるだけでした。

 やがて田中タダシは賞に応募します。選考が終わる頃には、ポイントも万を楽に超えていたでしょう。
 そして、みごと受賞。ツギクルより書籍化となるのです。

 ……あれやね。実力ある人は、ほっといても出てくるもんなんやな。
 自分が人気者に押し上げようなんておこがましい話ですよ。

 その後、田中はコミカライズも果たします。
 田中改め『リオンクール戦記』として。

 残念ながら自分はまったく寄与できませんでしたが、それでもO氏が書籍化作家になることを見届けることが出来ました。
 このころからでしょうか。O氏とはなるべく連絡とらないようにしようと思うようになったのです。

 立場が変われば付き合いも変わる。
 それがお互いにとっていいと考えたからです。勝手に。
 それによく考えたら、もともとそこまで連絡をとっていませんでした。
 お互いに感想を残す程度。
 べつに、たいして変わらなかったのです。

 わたしはわたしの作品とコミュニティーに集中し、O氏はこれまで通り。
 わたしはO氏を陰ながら応援しつつ、執筆をつづけることになりましたとさ。
 おしまい。

 後半、若干駆け足になりましたが、これがわたしが執筆することになった切っ掛けと、その後です。
 いかがだったでしょうか?

 自身の話と言いつつ、ほとんどがO氏についてでしたね。
 まあ、それもギフトが欲しかったからです。すまんねO氏。ダシにして。

 けっきょくサポーターは増えませんでしたが、まあそんなもんでしょう。
 作品を応援したいからこそサポーターになるのであって、近況ノートを読みたいわけではないのでしょう。

 こんな長々と書くより、長編小説のお知らせでもしとけっちゅーこっちゃな。

 お後がよろしいようで。

2件のコメント

  • 切磋琢磨した作家仲間が書籍化する。
    喜ばしいことですが、なんだか少し寂しい気持ちになりました。

    小説家になろうの私の知り合いで、強く書籍化を意識してそのことを公言し執筆されている方がいます。
    実力があるので、きっともうすぐ書籍化するでしょう。
    私はその方を応援して、割烹でのやりとりもしますが、その方が書籍化したらやはり寂しい気持ちなるのかもしれません。
    なんだか置いていかれたような。

    作家仲間といえど所詮励まし合うだけで、執筆はひとりで頑張ることなのでしょうね。
  • ただ巻き芳賀さんコメントありがとうございます!
    なんかしんみりしちゃいましたね。申し訳ありません。
    ですが、これは書籍化したからというより、単に時の流れかと思います。
    執筆仲間の多くは、なろうにログインしなくなりました。
    書籍化したわけではありません。

    O氏も活発に活動しなくなった。ただそれだけです。

    なろうでは書籍化はゴールではありません。
    むしろ、そこからがスタートだと思います。

    書籍化で人が変わる。
    そんな人もなかにはいるでしょうが、現実を見れば自分の立ち位置がさほど変わっていないことに気づくでしょう。

    ただ巻き芳賀さんのご友人がどのような方かは存じ上げませんが、距離がひらいたと感じたならば、それは自分が一歩引いただけ、そう考えていただければ幸いです。
コメントの投稿にはユーザー登録(無料)が必要です。もしくは、ログイン
投稿する