つづき。
わたしの目論見通り猟犬クリフは日間ランキングにのりました。
97位だったか、98位だったかちょっと忘れましたが、とにかくハイファンタジーランキングに滑り込むことに成功したのです。
ランキングの効果とはすごいものです。
これまでとは比べ物にならないほどの読み手が訪れます。
とうぜんブックマークがつく(なろうでは2ポイントに計上される)。
百人ブクマをつければそれだけで200ポイントです。
猟犬クリフの順位はさらに上がります。
順位があがればさらに読み手は増える。
しかも、ブクマをつけた人が評価も入れてくれる。
ポイントはまた増え、順位もより上へとのぼっていくのです。
そうやってランキングを駆けあがっていく姿を見て、爽快でした。
まるで自分のことのように嬉しかった。
しかし、つくポイントは、あるところで頭打ちになります。
順位は……たしか26位だったかな? そこで限界をむかえました。
なろうの壁は厚かったのです。
数日後、日間ランキングから猟犬クリフの文字は消えました。
その間に稼いだポイントも2000ポイント程度と、ランカーの足元にも及ばない数字でした。
もちろん、2000ポイントは大きな数字です。これまでとは比べ物にならないぐらいの。
ですが、落胆も大きかったです。
この作品でも届かないのかと。
しかし、なんていうんですかね。
わたしはまあ、こうなるだろうなとある程度予想もいたしておりました。
たしかに作品は面白い。ですが、作風も文章もなろうに受け入れられるスタイルではないなと、心のどこかで理解していたからです。
けっきょく猟犬クリフは完結し、ポイントは3000程度で終わりました(たしか)。
書籍化作品と比べればささやかなものです。
なろうで人気になるためにはいくつかの条件があります。
なろうで受ける文章。
なろうで受ける属性。
読者の願望や自尊心をいかに満たすか。
いかにテンプレを使って読者を引き留めるか。
これらの要素が大きければ大きいほど有利でしょう。
たぶん、多くの方が理解していることだろうと思います。
ですが、理解していたとして自分に書けるかは別問題です。
また、書こうと思えるかもです。
もちろん何事にも例外はあります。
これらの条件を満たしていないにもかかわらず人気を得る作品はあるでしょう。
だからこそ多くの書き手は、その例外を目指して自分の書きたいものを描くのです。
その後、O氏は新作を書きます。
『田中タダシ(41)建国記 『中世ヨーロッパ風なんてキツすぎる!』
転生ものです。
日本人が中世ヨーロッパ風の異世界に転生する物語。
わたしにはO氏の気持ちは分かりません。
ですが、この選択で良かったんだろうな。と思いました。
つづく。