ある夏の日、海の家を経営する水瀬一秋は、砂浜で一人の女の子に出会った。訳あって二度と女性は雇わない、と決めていた彼だったが、勢いに押され一日だけ彼女を雇うことにする。――そして、…

森に住まう少女は、ある日一人の男を助けた。 少女は少しずつ彼に心を寄せていき、彼もまた少女に心を返していった。 だが世間は、彼女を――“魔女”という異端の存在を認めていなかった…

平凡な少年は平凡な魔導師に出会い、普通の日常から普通の非日常へと踏み外す。

子どもの幽霊が出ると噂の家へ、郵便屋さんは手紙を届けに向かう。

郵便屋さんは森の中を舟に乗って進んでいた。無論、手紙を届けるために。

『どこかへいっちゃったおねえちゃんへ』そんな宛先でも投函されたなら届けるのが郵便屋さんの仕事。手紙はどこへ届くのか。

美晴と千夏は吹奏楽部のサックスパートだ。一番上手なのは千夏。なのに彼女を差し置いて、美晴にソロパートが任されてしまった。そのせいでなんだか険悪なムードになっていく……。

充電したまま、スマホを家に忘れてきた！　そういう日に限って、重要な連絡があるもので……。でも悪いことばかりじゃない。そんな日常の一コマを。

廃校前、最後の卒業式。校長先生の「私」は過去の映像を目の前に見る。

ピアノ馬鹿のお嬢様の家庭教師は大変だ。すぐにピアノを弾きに行きたがるし、気難しいし――どうしようもなく、可愛らしいから。 身分差に引き裂かれる二人の、最後の穏やかな一日。

引っ越しに追われる要領の悪い男、俊太。配送料をケチったために部屋とホームセンターを何往復もするが、その挙げ句に部屋番号が分からなくなってしまった。後輩に電話して聞いてみたところ――

私は井ノ下功。ウェブ上でちまちまと小説を書く人間だ。どうしてもネタが出てこない時、キャラクターを呼び出してインタビューする。そしてまた続きを書く。この短い人生を駄作にしないために…

村娘は戦争のプロパガンダに利用され、「黄色い目の女」の話を繰り返しながら西へと進む。 ※この話はフィクションです。史実にはまったく基づいていませんし、モデルにした国などもあり…

Sky Bean――空の豆。空豆とは違う、伝説のもの。紀元前にアイソーポスはそれを発見し、近代にリチャードはそれを求めさせられた。彼らの物語の断片を、少しだけ集めて切り貼りする。

豪雨の早朝。あるいは宇宙の果ての話。己の命と世界の終わりを感じて薄ら寒くなる、そんな感覚を書き留めたもの。

天界・人界・魔界の三つが融合してしまった世界の片隅。カオスを極める世の中を、人間は清く儚く弱々しく、首の皮一枚のところで生きていた。――だが恐れることなかれ。どうしようもない状況…

手袋をはめる際に口でくわえて引っ張る場合があるのは何故か。二次元だけの話だからどうでもいい？　まぁそう言わず、ひとつ真剣に考えてみようではないか――　（※すべてジョークです）

　半年前、私の愛した女性は毒を飲んでこの世を去った。私の友人はすべてを知っていて、何も言わなかった。 　ああ、だが、私に彼を責める権利があるだろうか？　忙しさにかまけ、彼女に何が…