ふと、なんで燈真君って呪術師堕ちしないんだろう? って思った。
本人は「力の使い方を履き違えない」という考えを持っているから、無闇な破壊が間違いだと思っている——という設定なんだけど、「じゃあ、正しい力の使い方って何」という疑問にぶつかりました。そして燈真君はなぜそれを知っているのか、と。
おそらくは、家族や自身を襲った理不尽から「こんなことは間違っている」と思ったのかなと。そして、「じゃあその仕組みをぶっ壊そう」と悪に染まらなかったのは、他ならない稲尾家が寄り添ったからではないか、と。
燈真君にとっての正義の指針は、椿姫ちゃんの生き様——強く生きることにあるんじゃないかと思っています。
実際燈真君は「人間の醜さも妖怪の恐ろしさも、どっちも知ってる」というタイプなので、多分、悪堕ち前の嶺慈君みたいに「結局人間の美しさ、世界の尊さが好きなんだよな」という前向きな子だったら結構簡単に闇の走っていたと思います。
評価軸が他人のため、ではなく、自分が信じるただ一つのため、なので、移ろい変わる周囲の情勢に引っ張られず、「自分という軸」で物事を判断して行動できるのが燈真君の強みであり、「正義」の価値観なのでは……と。
傍目には燈真君もだいぶやべーやつですけどね。だって最強になる動機が「俺の理不尽をぶっ飛ばす、その歪みを正す」という、本質的には嶺慈君のテロリズム思想と同じなわけですし。ただそこに導いたのが「稲尾椿姫」か「闇咲円禍」かの違いだけであって……。
……え、そう思うと重要なのはヒロインだったってことか?
狐か吸血鬼かでこんなに変わるのか……?
どうなんだろう。でも、根幹の考え方が違うから、周囲の環境だけでその後の行動が変わるとは思えない……。
結局、元人間の人外とはいえ、その精神性は十数年人間として過ごしてきたものなので、「自我」=「自分がそれまで培った価値観」だと思うし……。
とはいえ、家庭環境も歩んできた人生も、生まれ持った素質も等価といえる二人が真逆の道に走ったのは、生みの親である私からしても、非常に不思議です。