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恋し暖し春々しい世界

雪国新潟に住んでいる僕にとって、春というのは=雪が降る気配が完全になくなったという事と同意です。

僕は今、とてつもなくあの『外気が多少寒くて日陰に入ると「寒いなぁ」なんて感じながらも、温かい春陽気のぬくい太陽光を浴びながら冬と地続きな、でももうちょっとで緑が地面に芽吹きそうな景色の中を散歩する』あの感覚が恋しいのです。

その恋しさは過去の記憶と結びついているから余計にアンニュイを呼び起こすのかもしれません。

だって思い出すのは、高校受験の結果発表。

合格しているかどうかの確認の為に、一か月後自分が行くのか行かないのか分からない高校へと足を運ぶのです。

家から最寄り駅まで母親と二人、春の日差しで暖を取りながら、緊張しているのか分からない自分の身体をほぐすように暖かく照らす太陽の光が、何だか心地よいあの感覚を忘れることはありません。

高校までの道のりはちょっと先、僕の通学路になるかもしれない道のりの歩く。

同じ目的であろう他の親子を横目に見ながら、何かが頭に浮かんだ気がしてもすぐに空っぽになる頭の中。

そして、その高校に着くと、今か今かとその時を待っている人達がボチボチ話していたり、同じ中学校の同い年の生徒と会って、数分先で気まずくなる可能性をちらつかせながら会釈だけすまして、また発表を待つ。

そんな記憶が結びついて離れないのです。

高校へと向かう記憶は鮮明に残っているけれど、帰りは案外残っていないのも不思議ですけどね。

駅に着いてるコンビニで何かを買って食べた気がするけど何にも覚えていない。

ただ、その後、通っていた塾に口の中を数針縫う怪我していた友達と二人で、懇親会的なものに行ってお菓子とかジュースを食べた記憶はありました。振り返ってみたら。

そんな日々が八年前にありました。

そんな日々を春になると思い出すのです。

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