📕「飯屋のせがれ、魔術師になる。」
(「第4回一二三書房WEB小説大賞/コミカライズ賞(コミックポルカ)」受賞)
🌎
https://kakuyomu.jp/works/16816927863114551346+++++
🎬「ハリウッドよ、これが異世界ファンタジーだ!」✨
+++++
📖「第616話 随分いい加減じゃないか。」
🌎
https://kakuyomu.jp/works/16816927863114551346/episodes/16818093087768274065📄「そういう噂がこちらの耳にも入っています」
マルチェルはシュルツにも聞かせるようにそう言った。
「イドの制御が苦手な人間もいるでしょう。しかし、そうであってもあきらめる必要はありません。泳ぎを覚えるのと一緒で、時間をかけて慣れればいいだけのことなんですが」
「僕としては毛嫌いする対象が『魔法』にまで広がることが、腑に落ちないのだが。嫌いになるほど魔法と触れ合う機会もなかったろうに」
マルチェルが不思議がれば、ドイルも自分の疑問を述べ立てた。
2人の言葉を聞き、アランは顔をしかめた。
「どうもネロの奴が裏で煽っているらしい」
「煽るとはどういうことだ?」
「ウニベルシタスの存在は聖教会の信仰と相反するものだと言うんだ」
苦々し気に告げるアランの姿に、ドリーは居心地の悪さを感じる。
そもそもウニベルシタスで宗教について教えることはない。聖教会と敵対するような内容のカリキュラムは存在しないはずだった。
「ますます不思議だ。ウニベルシタスのどこが気に入らないのだろう?」
「第一に、聖スノーデンが広めた魔術を否定するところが問題だそうだ」
600年前、スノーデン以前にも魔術師は存在したが、その数は限られていた。聖スノーデンが神器を創り出したことによって人々に「魔術の種」がまかれたのだ。その偉業をたたえることが聖教会では教義の中心となっている。
魔術を否定することは聖教会の存在基盤を否定することに等しいと、ネロは論じていた。
「別に聖教会の連中が何を信じていようと興味はないんだが……。スノーデンが使っていた魔術と今広まっている魔術が同じものだと、どうして言い切れるのかね?」
「えっ? だって魔術だろう? 同じに決まっているでしょう」
ドイルがいかにも彼らしい理屈を唱えて鼻を鳴らすと、アランは意味がわからないという顔をした。
「どちらも因果律に介入し、通常は起こらない現象を意志によって引き起こす術ではある。しかし、同じ『魔術』という呼称を用いたからといって、2つのものが同じと決めつけるのは早計だ」
ドイルに言わせれば「魔術」とは単なる呼称に過ぎない。同じ呼び方をしたからといって同じものだとは限らないのだ。……
+++++
お楽しみください。