📕「飯屋のせがれ、魔術師になる。」
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🖋王立騎士団から派遣された研修生、アランとネロと対話するステファノ。
話題は「イド」の何たるかに及びます。
騎士たちを鍛え、自分で考える意識を持たせることがウニベルシタスの大事な役割でもある。ここで、2人の理解を得ておくことはとても大切だった。
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📖「第598話 これがイドの鎧というものか?」(予告)
📄「意」を「形」にするのはイメージだと、ステファノは語った。
「最初の魔術として習うことが多いのは『種火の術』です。これは誰でも火を見たことがあるからです」
|附木《つけぎ》の先でゆらゆらと揺れる炎。あるいは見ていると顔をほてらせる炭火。
触れば指を焦がし、木の葉をかざせば燃え移る。
「火のイメージは身近で豊富です。色、形、温度、動き、音、匂い……。五感を刺激する要素を数多く備えています」
だから火の因果はイメージしやすいのだとステファノは言う。
「イドの制御もこれと同じです。難しいのはイドは目に見えないというところですね」
それどころか通常はその存在を感知することさえできない。
「目に見えず、触ることもできないものをどうやってイメージする?」
珍しくネロが興味を示して、ステファノに先を促した。
「イドは意志の力で疑似物質化することができます。こんな風に」
ステファノは右手にまとうイドを硬質化し、同時に空気の層を挟み込むことによって可視化して見せた。
「これは……手で触れる。硬いな。これがイドの鎧というものか?」
「はい。わざと目に見えるようにしています。普通はこうなります」
ステファノはネロに手を触らせながら、イドを不可視の状態に戻し、手を自由に動かせる状態まで硬度を落とした。
「むう。これは、べたつかない粘土のような……。不思議なものだな」
「こうやって術者が実演して示せば、学習者はイドを知覚できます。瞑想法の講義では体内にイドの集合体である『|魔核《マジコア》』を錬成する実習を行うわけです」……
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お楽しみに。🙏😊