📕「飯屋のせがれ、魔術師になる。」
(「第4回一二三書房WEB小説大賞/コミカライズ賞(コミックポルカ)」受賞)
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https://kakuyomu.jp/works/16816927863114551346+++++
🎬「ハリウッドよ、これが異世界ファンタジーだ!」✨
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https://kakuyomu.jp/works/16816927863114551346/episodes/16818093085108336127📄ステファノの追撃がわずかに遅れた隙に、サレルモはステファノのイドで封じられた右腕を解放した。自分のイドを改めて練り、異物を洗い流したのだ。
そこへ意気揚々とステファノが飛び込んでくる。
(遅いわ! こいつ、体術は言うほどでもないな?)
「鉄壁」という名乗りに一瞬畏怖を覚えたが、どうやらただの猪武者らしい。サレルモはステファノの勢いをそぐことに意識を集中した。
(いつまでも勢いは続かない。攻撃が途切れたところがお前の最期だ)
サレルモの動きにしなやかさが戻った。
対するステファノは「調子に乗った若造」になり切ろうとしていた。矢継ぎ早に攻撃を繰り出し、サレルモを追い込もうとする。
その動きは手を抜いたものではなく、上級者のサレルモでさえ押されるほどの厳しさがあった。
(くっ! 勢いだけはある……)
サレルモは口を引き結び、猛攻に耐えた。
息を継がずに拳を撃ち込み、蹴りを繰り出していたステファノの動きが、1分を越えたところでようやく止まった。
「ふう」
肩で息をしたその瞬間をサレルモ師は逃さなかった。
吸い込む呼吸に合わせて右手をステファノの胸にすうっと差し伸べた。手のひらを前に、みぞおちを押しに来るその手を嫌って、ステファノは左手で上から押さえ込もうとした。
だが、呼吸を読まれているために抑え込む腕に気が籠らない。
サレルモ師は待っていたかのように自らの左手をステファノの左手首にそえ、両手で挟み込むようにステファノの左腕を引き込んだ。……
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お楽しみください。