📕「飯屋のせがれ、魔術師になる。」
(「第4回一二三書房WEB小説大賞/コミカライズ賞(コミックポルカ)」受賞)
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https://kakuyomu.jp/works/16816927863114551346+++++
🎬「ハリウッドよ、これが異世界ファンタジーだ!」✨
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📖「第588話 剣士の戦いと違って意外と地味なもんですよ?」
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https://kakuyomu.jp/works/16816927863114551346/episodes/16818093083765348990📄「しかし、お前が王国魔術競技会の準優勝者とはな」
学生寮への道案内をされながら、ステファノの背中にアランが語りかけた。
「組み合わせに恵まれたんですよ」
肩越しに顔を向けながら、ステファノが答える。
トーナメント形式の競技会では誰と対戦するかは成績を大きく左右する要素だ。
それでも、アカデミー出場枠から決勝まで進んだ例は過去にない。これまでで最高の成績は準々決勝敗退であった。
「俺とネロは騎士団の勤務があって、競技会を見られなかった。どんな戦いだったのか教えてもらえんか?」
「構いませんが、剣士の戦いと違って意外と地味なもんですよ?」
「そうなのか? 火を飛ばしたり、雷を発したりと派手なイメージがあるが」
|非魔術師《ノーマル》が魔術戦に描くイメージは、アランが言う通り、術が飛び交う派手な戦いだった。
しかし、現実は必ずしもそうではない。戦いをいかに自分に有利なものにするか、その駆け引きが多くを占めていた。
そもそも遠距離魔術を使える者がほとんどいない。魔術戦とは間合いの攻防でもあった。
接近戦を挑むか。中距離で撃ち合うか。それとも遠距離から魔術発動体を飛ばすか。
見た目が派手になるのは、互いに中距離から魔術を撃ち合う組み合わせだった。
「俺は遠距離戦が得意なので、そもそも有利に試合を始められたんです」
◆◆◆
対戦者が立つ開始線には50メートルの間隔があった。随分遠いがこれには理由がある。
近い距離で試合を始めると、いきなり武技で相手を倒す競技者が現れた。それも戦いのリアルではあるが、それでは魔術を競い合う大会の趣旨にそぐわない。そこで開始線が50メートルまで遠ざけられたのだ。
武器、防具の使用は自由。アカデミーの試技会とは異なり、攻撃は相手の体に当てる。当然危険を伴うので、致命傷を与えた者は失格となるルールだ。
勝敗は一方が行動不能となるか、戦意喪失して負けを認めるまで。
ほとんど実戦に近い、荒々しいルールであった。……
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お楽しみください。