📕「飯屋のせがれ、魔術師になる。」
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https://kakuyomu.jp/works/16816927863114551346+++++
🎬「ハリウッドよ、これが異世界ファンタジーだ!」✨
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📖「第562話 ありません。ドリーさんが初めてです。」
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📄「待たせたな、ステファノ」
1時間後、アカデミーの正門にドリーの姿があった。「正門で待て」とステファノに伝えてから、しばらく時がたっている。
地面に腰を下ろして休んでいたステファノが、尻をはたいて立ち上がった。
「退職手続きは済ませた。それじゃあ行こうか」
「行こうかって、サポリにですか?」
「それ以外にどこへ行く? まずは馬車を捕まえるか」
とんとんと話を進めるドリーに、ステファノは押され気味だった。ウニベルシタス合流に反対はしないだろうと思っていたが、ドリーがこれほど前のめりになるとは予想していなかった。
ウニベルシタスでヨシズミから魔法を学ぶことは、半年以上前からドリーの中では方針として決まっていたのだ。
たまたまそれが今日になった。ならば何を迷うことがある、というのがドリーの考え方だった。
「馬車は必要ありません。とりあえず街を出ましょう」
ステファノはそう言いながら、ドリーの背中に目をやった。
そこにはまとめた荷物を突っ込んだ背嚢と、それに縛りつけた剣と盾が見える。
それが引っ越し荷物のすべてなのだろう。物にこだわらないドリーらしい潔さだった。
「その恰好なら大丈夫でしょう」
ステファノは一人で頷き、先に立って歩き始めた。
「その|魔耳話器《まじわき》はスールーのデザインで作らせた最新型なんですよ」
「随分小さいな」
耳全体を覆うタイプやカチューシャ型などの試作品を作ったが、どれもスールーの好みに合わなかった。「鉄粉に魔法付与できるなら、豆粒サイズでも良いじゃないか」と言い張り、耳の縁にはめる銀細工に落ち着いた。
「これなら耳飾りと言ってもおかしくないな」……
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お楽しみに。