📖第489話 なるほど、よくできている。
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https://kakuyomu.jp/works/16816927863114551346/episodes/16817330669767298065📕「🍚🥢飯屋のせがれ、🧙♂️魔術師になる。――知力ひとつで成り上がってやる。」
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📄「すると、あれだな。今後の試合でステファノはいくつかの見せ場を作ろうとしているわけだ」
トーマの考えでは、第1試合は「受けのうまさ」を見せつつ、隠形五遁の法で見せ場を作った。霧隠れから山嵐、そして高跳びの術という流れは原始魔術が実戦で有効であることを実証した。
今後の見せ場は、「防御魔法の強力さ」、「魔道具の有用性」、「獣魔術の実演」などを示すつもりではないかと、トーマは予想していた。
「概ね研究報告会のテーマと重なるわけだな」
「そういうことだ。報告会が伏線となって、魔術試技会がその実演の役割を果たすのさ」
「なるほど、よくできている。2つのイベントが相互に引き立て合うということか」
トーマの指摘にスールーも得心顔となった。
報告会の会場では開発した魔法や魔法具を十分に実演することができなかった。会場の制約や観客への影響を考慮すれば、危険なデモを行うわけにはいかなかったのだ。
競技場であれば、制約の大半はなくなる。
反対に、試技会で使う術の術理は、研究報告の内容を読めば理解しやすくなる。2つを合わせることで、メシヤ流の優秀さを十分にアピールできるのだ。
「そうか。試合の前に術理を明かすなど、損をする行為だと思ったが、そういう意図があったのだな」
「術理がわかっても防げない。その自信があるのだろうさ」
ステファノの口振りでは、手の内をすべてさらけ出したわけではなさそうだった。1つや2つ手品の種を知ったところで、一朝一夕で対抗できるものではない。
「ステファノは呪文の詠唱とやらをしないしね。例の気恥ずかしい奴」
「ああ。どうやら常に発動可能な状態にあるらしい。普通は魔力を練って、術式をイメージ化する必要があるんだが、全部省略だ」
「ステファノに普通を求めても無駄」
トーマの言葉通り、ステファノは予備動作なしに無詠唱で魔法を繰り出せる。集中も構成も必要ない。
ただ|虹の王《ナーガ》に結果の発現を求めれば良かった。
……