📕「🍚🥢飯屋のせがれ、🧙♂️魔術師になる。――知力ひとつで成り上がってやる。」
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📖第467話 すまん、ジロー。すっかり忘れておったわ。
「10年前と何1つ変わらん」
|呪《まじ》タウンに足を踏み入れた老人は、目の前に伸びる通りを見渡しながらつぶやいた。
「変わったのはわしの方か」
あの頃はまだ魔術を自由に使えた。「疾風」の二つ名が示す通り、風魔術では人後に落ちなかった。
マランツはやれやれと首を振り、昔の思い出を頭から追い出した。
「今じゃ酔いどれの爺だ。この町にはいかにも不釣り合いだな」
魔術の街、呪タウン。この街は出世を求める魔術師たちが、夢を掲げて集まる場所であった。
「今のわしには、夢よりもまず寝床を探すのが先だ」
口の軽い薬屋にヨシズミとその弟子のうわさを聞いた。ジローと同じく、王立アカデミーで魔術を学んでいると言う。
魔力に目覚めてひと月もせずに、ジローを水魔術で圧倒したというステファノ。上級魔術師級の実力を隠したヨシズミ。その2人がこの街にいる。