お久方ぶりです。
貴方の心の恋のキューピット。
橘風儀です。
仕事の休憩時間になりましたので。
軽く雑談でもしようと思います。
本日のお昼ご飯。
何を食べようかと。
ぶらりと外に出歩くと。
中華料理屋がありました。
繁盛しているとは言えない風貌であり。
何処となく一見様お断りに圧が放たれており。
入ることを躊躇う雰囲気が放たれていました。
普段の私なら。
その圧に負け。
素通りしてしまいますが。
今日の私は違います。
お給金を少しばかり。
多めに下ろしたこともあり。
普段よりも強気に。
店に入ることができました。
いつか入ろうと思っていた。
中華料理屋ですが。
そのいつかが。
いつになるのか。
分からぬまま。
先延ばしにしてしまい。
早、一年。
入り口前に立ち止まり。
念のために。
財布を確認すると。
福沢諭吉の背後にて。
夏目漱石と目が合いました。
その目は私をあざ笑うかのように。
その口は私を嘲笑するかのように。
言います。
「向上心のないものは馬鹿だ」
夏目漱石の「こころ」で書かれた言葉が。
胸にぶつけられました。
私は知らず知らずのうちに。
向上心を失い。
愚か者になっていたのかと。
自責の念を抱き。
中華料理屋の入り口のドアノブを握ります。
もう。
迷いはありません。
「……ませ」
中国訛りの声が響きます。
いらっしゃいませ
と言ったのでしょうが。
訛りが強く。
聞き取れず。
そのまま
座席に座ります。
中国風の美人のお姉さんが近づいてきます。
「このAセットください」
ぼくがにこやかに言うと。
女性はにこやかに返してくれました。
「あの、お昼の閉店時間が過ぎてますので。また午後からいらっしゃってください」
ほっともっとのかつ丼。
おいしかったです