習合異式です。
PIC SISTER!の41話まで投稿しました。
予定通り、来週の月曜以降に残りを投稿したいと思います。
この作品はAIという最新技術の時事ネタを元に書かれた作品ですが、個人的にAIの描写にこだわった部分がありました。
それは作中AIは主従関係でいえば「従」の立場に置き続ける、です。これには大きく三つの理由があります。
まずはマンネリ回避。
現実世界に高性能なAIが生まれる前からAIを主軸に据えた作品はいくつもあり、その中でも、
「AIが人間を支配しようとしている!」
という題材は手垢つきまくって、意外性や新規性を生み出すのが大変です。
なので、作中AIは大仰なイザナミシステムも、感情豊かなアンネも共通して「人間の命令や情報入力に対し成果物等を出力する」「提案はするが強制はしない」というスタンスを取っています。
あくまでも出力された物を利用、または悪用するのは人間である、という構図を守りました。
もうひとつが個人的な趣味。
自分の好きな映画作品が「固体のようで液体でもあり、無色透明」を掲げて作られた作品なので、それに倣い、最新技術の否定になるような作品は避けたいと思い執筆しました。
なので、先程の内容と合わさりますが、技術は使う人間次第、という主張を今作では通しました。
そもそも、この作品がAI技術によって発想を得た作品なので、AI技術の批判をしたら、
「お前はどの口でそれを言ってるんだ?」
ということになるのですが。
最後に、今作がSFだからです。
自分は人間賛歌を歌う物語が大好きで、そういった作品を目指して文章を書いていますが、やはりSFというジャンル上、人間の愚かしさも書きたいなぁ、とも思いました。
政府はイザナミシステムに責任を丸投げし、ラスコーも作ったアンネを信用せず、全てを語らなかった。けれど、主人公であるライナは嫌っていたはずの技術も取り入れて前に進もうとしている。
そういった人間の矛盾や愚かさ、けれども美しく、力強いところを描くために、AIを万能器具やデウスエクスマキナにしないと決めて、描きました。
ただしこれらの要素は作中でかなり薄味になってます。
今作のメインテーマはあくまで「友情! 恋愛! 芸術!」という明るいものなので、上記のネガティブな部分は、テーマの輝きを際立たせるためのアクセント程度になっていればいいや、と思う次第です。