世の中には対面での人同士の会話でも伝えたいのに伝わらない事が多くあって。
それがここカクヨムという文筆の場なら、尚更実感させられる訳です。
私の作品の大半は地の文が三人称なので、世に言う俗語もどこまで文体を崩すべきか略語や通称を用いるべきか、自分の中で一定の基準を設けて書いています。
例えば「パソコン」を「パーソナルコンピュータ」と書くことはないです。
それはパソコンが世に出て「パソコン」という略語が定着しているからです。
パーソナルコンピュータがパソコンであると、それに置き換わる単語が既に世に広まっているからとも言えます。
まぁ私が産まれた頃は「マイコン」とか言われてたみたいですけど。
しかし「スマートフォン」を「スマホ」とは、なんとなく書きにくい。
だって、電話だったら家庭用電話や場合によってはサザエさんち的な黒電話を使っている方も居るだろうし、街には公衆電話も残っているから。
でもスマホという略語もすっかり定着している。
だからやむなく、キャラの台詞では「スマホ」、地の文では「スマートフォン」と表現しています。
さて。ここからは余談ですが。
ある短編でドラッグストアの店名をパロディらしくもじって書いたのですが、よく考えれば全国区であるか、どの都道府県にも出店しているかまでは調査せずに書きました。
日本中、世界中どこでもアクセスできるネットの時代で、でも可能性として地域限定の店であると加味するべきであったかな、と若干の反省はあります。
例えば短文メッセージやスタンプが投稿できるアプリ『LINE』。
よく見かけるもじりの例として、「(仮名の)ライン」「LAIN」「RINE」などがありますが、それはWeb小説投稿サイトだけでなく、サブスクで漫画やアニメやテレビを普通に観る層の大半がスマホを利用していて、その代表格たるアプリ『LINE』も当然使っているであろうという前提の上で、もじっただけに過ぎないと思うのです。
それでもそのもじりが大半の読者に通じるのは、当然ながら大元の『LINE』さんが市民権を得たぐらいに一般的となった単語だからでしょう。
なので上記の例で言うと、例えばコンビニだったら『ハミマ』『ローンソ』くらいのパロもじりだったらまだ全国区だと言えるかもしれませんが。
某大手ドラッグストアが出店していない、もしくは系列だけど名を変えた店舗がある、もっと言うと全然無い、といった都道府県の読者の皆様には通じないネタなのかもしれなかった、と事前に考えるべきだと思います。
かぐや姫の『神田川』は東京住まいではない方にはピンとこないでしょうし。
海援隊の『思えば遠くへ来たもんだ』も、「筑後の流れに小鮒釣りする」と言われても、九州北部の方でないと『あんな大都市、福岡で?』と、やっぱりピンとこないはずなんですよね。
その説明を補って余りある歌詞の表現世界があるからこそ、誰もが歌の世界にピンと来るわけだし、名作たり得る理由なのかもしれません。
こういう話をエッセイは放ったらかしで近況ノートで書いてしまう自分もどうなんだと思います。