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取材ノート:「翠雨の水紋」(23)羽代藩札

寅衛門「ふんふふふ~ん♪」
寅吉「おや殿、ご機嫌ですな。ネットで何を見てるんですか?」
寅衛門「ふるさと納税の返礼品を選んでおるんだ」
寅吉「おお、いろいろありますな」
寅衛門「作者はすでに選んで納金し、返礼品が届くのを待っているそうだ」
寅吉「何を頼んだんでしょうかね」
寅衛門「米15kgと餅2kgと醤油さし」
寅吉「それが作者が頼んだ返礼品?」
寅衛門「あいつ、米食だから」
寅吉「ああ、最も効率的にエネルギーを得られる食料が米という、あの稲作人間。で、殿は」
寅衛門「米沢牛とか良くないか?」
寅吉「いいですね~。神戸牛も捨てがたい」
寅衛門「おっと、そうそう、作者が頼んだ醤油さしは墨田区の返礼品だ」
寅吉「同じ都区内に寄付ですか」
寅衛門「墨田区のふるさと納税は、すみだ北斎美術館(https://hokusai-museum.jp/)の運営に充てられる。それで選んだらしい」
寅吉「米のグリコーゲンに惑わされずに辿り着いた理性を褒めてやりたいですな!」

寅衛門「さて、ふるさと納税に関する政府広報はここまでだ」
寅吉「そうですよ、とっととタイトルの話をしましょうよ」
寅衛門「え~と、『翠雨』では羽代の藩札が重要アイテムとして登場する」
寅吉「これまでもちょいちょい出て来てますよね」

*藩札とは、発行されたその藩の中だけで有効な紙幣のことです。うまく流通させて藩の財政に貢献した例もあれば、藩主の一存で紙切れ同然にまで価値が下げられ、結果、商人に対する武士の借金が帳消しにされる、などの悪政も行われました。
今でいう所の地域振興券ですね!(゚ω゚) 現在、幕末期の藩札については非常に詳しい資料が多く出ていますが、これは地域振興券発行の検討段階で藩札の研究が推進された、というバックグラウンドがあったとかなかったとかホニャララ

寅衛門「で、『千鳥シリーズ』作中、羽代藩札が最初に発行されたのが『風浪』中だな」

――新たな藩札は、青海波を背景に鳳凰が舞う図柄が上半分、下半分には甲乙丙のいずれかの文字と羽代藩の藩印が記されている。甲乙丙それぞれの藩札の価格は、市場に出回る藩札の量と羽代藩の財政を反映し、月ごとに変動するという。

 折り目なく刷られた墨の匂いもまだ感じられる新しい藩札を使い、修之輔は商人から紙を手に入れた。まだ使い方に慣れていないが、今後、同じ藩札でもより高い価値のものと交換できるようになる可能性があるという事だった。
「風浪の残響」第6章 波の音色 第4話(https://kakuyomu.jp/works/1177354054934987728/episodes/1177354055489683573

寅吉「……株券やん、これ」
寅衛門「しかも藩主が発行している、という面からみると国債でもある」
寅吉「え、これ成立するんですか?余程の信頼が無いと紙幣としての流通は難しいのでは」
寅衛門「そこで封建主義だ」
寅吉「王様の云うことは絶対!ですかぁ、おっそろしい」
寅衛門「いうて幕末期は全国的に貨幣が不足していたからな。使える紙幣があるだけマシ、という側面もあったようだ」
寅吉「藩札が結構良く使われていたからこそ、金貨銀貨の貨幣制度から紙幣制度への転換がスムーズにいった、とも言われておりますな」

寅衛門「で、添付画像がその羽代藩札」
寅吉「……細かなところにまだ描写が足りないらしいですが、まあここの作者のことですから」
寅衛門「こんな単純ではなかったようだが」
寅吉「これでは直ぐに偽造……」
寅衛門「おっと、ネタバレはもう少し待て」
寅吉「ネタバレ、なんですかねえ」

*もうちょっと書き込み&考証が必要です。後日、完成したらまた公開します。

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