こんばんは。突然ですが、読書感想文を書こうと思います。
一発目は宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』です。初めてこの題名を耳にしたのは小学生の頃だったかと思います。ちゃんと読んだのは、私が二十歳の時でした。ちなみに今まで読んだ中で一番の珠玉の作品だと思います。(永遠の未完なのが更に好き)
何が好きって勿論全てが好きなのですが、倒置法に比喩表現、それに加え宮沢賢治の独特の世界観が文章として整合されていて、なんかもう何もかもが好きです。文章を超えた『何か』に思えてきますから不思議。所謂、Something。
内容は有名処なのですっとばしますが、この作品はのテーマは“本当の幸い”とは何かと言う事。物語後半の蠍の火の話は有名です。根幹は其処(命の在り方)かも知れませんが、私が何故『銀河鉄道の夜』を好きなのか。理由は別にあります。
孤独な少年ジョバンニはある日、親友のカムパネルラと銀河鉄道に乗る事になるのですが、その時のジョバンニの心象が、その一言が、この作品の真なる根っこになる部分かと私は思います。いいや、きっと宮沢賢治が誰かに言いたかった魂の“一文”なのかも知れません。
「おや、あの河原は月夜だろうか。」
「月夜でないよ。銀河だから光るんだよ。」
銀河鉄道に乗ったジョバンニとカムパネルラ。
ふと、車窓の外に広がる幻想的な景色に感嘆と疑問を投げかけるカムパネルラに対してジョバンニは足をこつこつと鳴らし、目をキラキラと輝かして応えるのです。
私はこのシーンが一番大好きでございます。この二人の会話のやり取りに、全ての童心が詰まっていると思います。そして何が凄いって、やっぱりタイトル。『銀河鉄道の夜』がもう凄い。
今後、私の中で宮沢賢治と夏目漱石を超えるロマンチストはいない。そう思えた作品です。以上、読書感想文でした。
追記。次回は『ブラッドジャケット』の感想文を書きます。