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物語が始まらない『霊感があるお父さん』

お父さんにさ、霊感があって良かったなんて初めて思ったよ。

私も霊感がここまで役に立ったのは初めてだ。

そうなの?

そうだよ。霊感があっても良いことなんてほとんど無いからね。
見えないものが見えるというのは、それだけ嫌なことも多い。

娘に嘘つき呼ばわりされるとか?

・・・・・・そうだね。



・・・・・・ごめんね。信じなくて。酷いこと、言って。

気にしなくていい。よくあることだからね、私も慣れている。

でも、

私も、私も謝らないといけないことがあるな。
プリン。食べてすまなかった。

やっぱりお父さんだったの!?

すまん。

あれはっ!

好きな人に貰ったプリンなんだろう?

知ってたの!?

なんなら、知ってたから食べた。

嘘でしょ!?

本当だ。・・・・・・かあさんにはヤキモチだと言われたよ。

ヤキモチ!?お父さんが!?

そうだ。自分でもびっくりだ。

信じられない・・・・・・。

私も・・・・・・なんなら信じたくない。さ、もう着いたぞ。先に戻っていなさい。
ほら、そんな顔するな。かあさんが待っている。

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