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深夜のお客様

本題の前に・・・
今回は汚い話、そして虫が出てくる話でございます。
お食事中の方、虫が苦手な方はそっと閉じてくださいませ。
(だったら昼に更新すな(゚Д゚)ノ )



 そう。あれは、草木も眠る静かな夜のことでしたわ。

 お腹の不調を感じたわたくしは、明りを灯しながら早足でお花を摘みに行きましたの。
 最後の扉を開くと同時に、白く照らされた床を見て、わたくし、ぎゃっと悲鳴を上げてしまったの。
 だって、黒い背中のあのお方がいらしたんですもの。
 わたくし、普段は見かけても悲鳴を上げるような不躾なことはいたしませんわ。ただ、この時のお方は、その、とてもご立派な体格でしたの。
 その方は、素早い動きで倒れていたペーパーの芯に潜り込みましたわ。驚かせてしまったのね。

 わたくし、少しだけ、本当に少しだけ悩みましたのよ。悩んだ末に、その場を離れましたの。やっぱり武器が無いと戦えませんわ。
 大急ぎでスプレーと袋とキッチンペーパーを持って戻りましたわ。
 1分もかからなかったと思うのだけれど、あのお方の姿が見えなくて・・・・・・。
 本当に焦りましたわ。

 でもね。わたくしの気配を察してか、出てきてくださったの。
 しかもこちらに向かって来てくださっているのね。
 わたくし、そんな気遣いは必要ありません、ってスプレーを向けたの。だって、ほんの数歩の距離でしたのよ。向かい合うには十分な近さですわ。

 暑い夜でしたのに。あの方は冷気から逃げるように、体重計の陰に隠れましたの。遠慮しなくていいのにね。体重計を避けて、さらに冷気をかけて差し上げましたわ。
 とても頑丈な方の様で、数回同じ動きをしましたわ。
 わたくしも、そろそろお腹の方が限界に近づいてきましたから、だんだん腹が立ってきて少しきつい言い方をしてしまったわ・・・・・・。
 あの方にはまったくもって関係のない話ですのに・・・・・・。

 あの方は、わたくしの剣幕に押されたのか、だんだん動きが鈍くなってきて遂に足を震わせながら、立ち止まってしまわれたわ。
 さすがに、少しだけ申し訳ない気持ちになったわ。
 キッチンペーパーで丁寧に包んで、袋に入れて・・・・・・袋はきちんと二重にしたわ。大切よね。
 あの方が大好きな生〇ミの袋に入れたわ。
 そうするのが一番だと思ったの。

 そのあとは、最初の目的通り、お花を摘みに戻ったわ。

 これでこのお話はおしまい。
 涼しくなってきたからかしら。あの方々の動きが活発になっている気がするわ。
 皆様もお気を付けてくださいませ。

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