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物語歴と、過去話。

エッセイとして書こうか否か迷い、結局近況として書くことにしました。


私は子どもの頃から取り憑かれたように本を読む子でした。
物語を書き始めたのは、小学2年生の頃。
小3の頃には絵本や紙芝居を作り。
高学年の頃には、小説らしきものを書き始めまして。

高校は、死なないギリギリの線まで生徒に勉強をさせる熱血校で、小説を書くどころじゃなく。
大学に入ってから物語作りを再開しました。

しばらくして、個人サイトで小説を公開し始めました。
まだ、小説投稿サイトが存在しない時代。
頼みは検索して遊びに来てくれる読者のかた達でした。

二次創作や夢小説ならともかく、オリジナル小説なんて、ほぼ需要などありません。
面白い物語ならプロの作品で十分ですもの。

そんなシビアな目は、分かりすぎるほど分かってました。私自身、本(プロの作品)に夢中な人間でしたから。

それでも、まだ世の中に無いときめきを、誰よりも自分がファンになってしまう物語を作り出したくて、書き続けていました。

こんな話を書いてみたんだ。
読んでみてくれる?
この世界を一緒に楽しんでくれる人が、どこかにいてくれたら。

と、子供の頃、小説を友達に見せていた感覚でサイトにupしていました。

そんな時、とっても優しい方達が遊びに来て、私の小説に、熱く長い感想をくださいました。

自分のサイトや小説を宣伝するでもなく、私の書いた物語を読んで、「楽しかった」と、様々な言葉を尽くして感想を送ってくださいました。
当時も感激したものですが、今でも本当に、この日本のどこかにいる方々が、得難いものをくださったのだなと思い返しては感謝してます。

貴方の書く小説はとても面白い。良質で本物だから、どこかに応募した方が良い、と。
応募先としておすすめのレーベルを具体的に教えてくださったかたもいました。

本物なんて、身に余る言葉だと思いました。
当時私が書いていた小説を読み返すと、書きたいことを必死で文字で描き出そうとした痕跡は見られるものの、やはり未熟だった。

ネットで小説を公開されてる方達の中には、私よりずっと、綺麗で熱い小説を書く方もいらっしゃいました。

後にプロになったと書かれたある方は、言葉から教養が滲んでいて、それでいて、よく読者の心理を読む物書きさんでした。

他のネット小説と一線を画した、格調高い文章。
難解ではなくて読みやすいのだけど、それでいて、文章の端々に品格がある。物語自体もとても面白い。
後にも先にも、そのかた以上に魅了される文章というものを、ネットで見かけたことがありません。

読むだけなら、私も幼児期から本を沢山読んできたし、高校三年間も、古今東西の難解な名作達の一部を毎日頭がパンクしそうな量読まされていたので、ああこの人は『何が良い文章なのかが分かっている』と感じました。
多分、私の好みと合致していたのでしょうね。

そこに到達しきれていない自分の未熟さが分かっていたから、読者のかたがたから頂いたありがたい感想は、宝物として覚えておくことにして、どこにも応募はしませんでした。

昨今のネット小説の潮流に目を向けると、あの時の心優しいかたが言ってくださった『本物』の言葉の意味が少し分かる気がします。

私の小説は、即時的な楽しみを与えるものではありません。どちらかと言うと昔の紙の本の物語に近い、読み進めるほど盛り上げていくタイプです。

でも、ネット小説が飽和状態の世界では、どの小説に読む時間を割くか、それを素早く判断しなければならない。

カクヨムでも、なろうでも…ネット投稿サイトの功罪というのでしょうか。
簡単に書ける。公開できる。読める。
その手軽さと引き換えに。

私がかつて偶然発見したような、奇跡的に美しい文章を書く人を見つけるのが、逆に難しくなってしまったと思います。
(いやほんと、何でこんな文章が無料で読めるの?と思うほど、洗練された文章でした)

AIが書いたという小説も何度か読みましたが、不思議ですね。惹かれないんです。
どれも似たり寄ったりで光っておらず(特徴が無いというのか)、楽しむ点や見所が分からない。

もはや紙の本であれば間違いなく面白い、という時代ですらない。
この事態を招いたのは、小説投稿サイトでしょう。

今のネット小説の書籍化の流行は、そういう種類の紙の本が新しくできたと認識する方が良いと誰かが言ってたけど、本当にそうだと思う。

発見してもらえないし、こちらも求めるものを発見しづらい。

孤独は、より深まってしまったのかもしれません。


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 くしゃり、と、男の手が青年の髪を少し乱暴に撫でる。
「いいか? 何がなんでも、お前は生きるんだぞ。お前が会いたい奴に会うまで。死ぬなよ」
 男は、顔の皺を深めさせて笑んだ。

(『この革命は二度目の恋とともに〜騎士の娘はヤンデレ皇太子に愛でられる〜 [王の剣の封印]』より)



また、出逢えるでしょうか。

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