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RPGツクールで作りたいゲームのあらすじ⑯

ユーディンの独白。……私は覚えている。父が、宰相だった父が無実の罪で処刑された日の事を。皇后だった叔母が妊娠したから飽きたという非道い理由で幽閉され、出産はしたものの、衰弱死したあの日の事も。私の父は立派な貴族だった。宰相として本当に帝国のために誇りを持って務めを果たしていた。夜のレプティアの惨劇が起きた時、皇帝カリグラがすぐさま王国へ報復戦争を起こそうとしたのを必死に止めた。一番先に今すべき事はレプティアの復興、民へ重税がかかる戦争ではない、と。だがカリグラは父の反対を押し切って戦争を起こした。最初は勝ち戦だった。リール騎士団団長コーガ殿の奮戦あっての事だ。王都アマルナイアも陥落させたと知った時は、私は愚かにも安心した。まだ戦争は終わっても居なかったのに!案の定『姫』が無知な竜族を味方にして、戦況を逆転させてしまった。カリグラはまた父の反対を押しきって、国境要塞を次々と建設させた。民への重税は、より酷くなった。更にカリグラは民の不満の矛先を父に向けようとした。皇后であった叔母が涙ながらに諫めても聞かず、父を公開処刑した。貴族やコーガ殿は父に逃げろと言ってくれた。誰よりもこの国を思っていた貴方があんな暴帝のやり玉に挙げられる事は無いのだと。特にコーガ殿は罷免寸前までカリグラから父を庇おうとしてくれた。父は、しかし無慈悲な運命を甘受した。これが貴族、高貴な者の務めなのだと言って。タイガスが産まれたばかりだったのに。しかし父がそれを甘受するならばと私や母は耐えた。不満や恐怖を抱く貴族を説得もした。だがその5年後、あの暴帝は叔母を幽閉した。妊娠して女として飽きたからと顔だけの遊女を後宮に連れ込んで!叔母は出産はしたものの、そのまま衰弱死した。私の母もただでさえ父が殺された心労に、この事態が起きて、伏せりがちになり、間も無く病死した。激怒したコーガ殿はカリグラを怒鳴りつけたためついに罷免された。リール騎士団はコーガを慕っている者ばかりだったから、ついに彼らもカリグラに白目を向けるようになった。私はもう限界だった。民の疲労、父の犠牲、母や叔母の死、そしてタイガスの呟いた一言。「あにうえ、こうていはなにをしてもよいのでありますか?」良い訳が無い!皇帝がこの帝国の絶対君主を名乗るのならば、最も重い責任を背負うべき人間なのだ!今までの暴挙の責任、全て取っていただこう。それが私が貴族やリール騎士団をも巻き込んでクーデターを起こし、カリグラを廃して新皇帝ゲルマニクスを擁立した最大の理由だった。
……。
違う。
私は、本当は父親を殺した『皇帝』という存在が、自身でもどうしようもなく恐ろしくて耐えられなかったのかも知れない…。

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