この頃リトールは義賊になりたいホームレス中学生、神や姫から解放されたハルーンは各地を彷徨いながらこれからどうしたら良いのだろうかと迷っている吟遊詩人。
そして物語はやっと始まる。
北方の辺境の寒村、ウルル村で病気の老夫婦が徴税人に責められて弱り果てている。税金を納めたくても医者にかかるお金もないので無理なのだ。だが徴税人は納めなかったら牢に入れるとまで凄む。そこに乱入する者がいた。びっくりする徴税人をスルーしてヨルデリアは老夫婦に雪山から採ってきた薬草を渡す。それからお前は誰だと言った徴税人に話しかける。
ヨルデリア:私はカンナヴァルシアス帝国皇帝ゲルマニクス陛下直属リール騎士団団長ヨルデリア・コルナッハだ。
徴税人:えっ。
ヨルデリア:何を驚いているんだ、私を呼んだのは他でもない貴方だろう?
徴税人:あっ、ま、まさか!?
ヨルデリア:まさかウルル村の村長や北方都督府もすっ飛ばして皇帝陛下へいきなり直訴の手紙を書くなんて、そこまで追い詰められていたとはね。
そして彼女は己がその手紙がきっかけで、皇帝からの命令でこの頃北方の地に課せられた異常な重税に関して調査しにきた事を説明する。どうも北方都督府が何かやっているようだから、これから北方都督府のある行政都市エンブラに行くと言って彼女は家を出て行こうとするが、立ち止まってこう言い残した。世知辛い世の中だ、お互い頑張って生きていこう。でも、偽善者ならぬ偽悪者にならなくたって良いと私は思うよ。
立ち尽くす徴税人に、病気の老夫婦が恐る恐る話しかける。あの…ありがとうございますだ。