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くろてんゲーム化エッセイ-42.進捗+世界包括神話-韓国(1)

昨日はゲームのスキルまわりとエネミーの強さ調整。いまのままだと冒頭の瑞穂さん、なにもしないままぶん殴られて戦略性も何もないまま敗北、凌辱ルートになりますからね。「勝つのは多少厳しいけれども、頑張れば必ず凌辱回避可能」くらいのバランスに落ち着けたいものです。あと、ゲームのシステムまわり追加注文しようかなぁ~というのがひとつ、「点」を「線」でつなぐマップ上での国盗りSLGふうにして、その中で通常戦闘とタクティカルコンバットを切り替えてのゲームにしたいかなぁと思い始めました。できるものならマップとシナリオのコンストラクションと、登録キャラの自由配置を可能にして、くろてんという作品ではあるけれどもオリジナルのゲームをユーザー様が組めるように……まあ、SEさまとお財布に相談ですね。制作費がどんどんかさんで、価格帯も上がってしまいそうなんですが。ほかに昨日やったことはというとchapter1の未完成部分穴埋め。これでc.1はほぼ完成です。システム的な完成がまだまだなんですけどね。前述のシステムが搭載できるようにするなら、ボイスのほうは棄てることになるかもしれません。窮余の策として、音声作品として個別にリリースするとか。

さておきまして世界包括神話、韓国。たぶんこれが一番苦手な神話だと思います。ウチは福岡なので船で1時間かそこらかければそこは韓国なのですが、はっきり言ってその文化・歴史・神話についてはまったくの不勉強。ここ20年くらい韓流ドラマの大流行で韓国文化が本邦にも結構、流入してはいますが遠蛮は「大王四神記」くらいしか見たことがなく……神話と歴史がごっちゃになってて変な感じだなぁと言う印象しか受けなかったというのが実情。でもうちの小説・ゲームの主人公・「新羅辰馬」の姓「新羅」は韓国古王朝からの借用(半分は清和源氏の新羅三郎義光から)ですし、新羅家の祖として設定してある「伽耶家」は新羅に滅ぼされた「駕洛国」の別名。やはり自分の中にそういう要素が脈々、流れているのでしょうね。というわけで、よく知らない割に親しみはある国なのです。この国の神話の特色は「創世神話に属するものがほとんどない(一応、巫女のムガ(巫歌)にいくつか少ないけれども残存はしています)」ということ。豊富に残っているのは新羅・百済・高句麗の「建国神話」であり、神話書というより歴史書である「三国史記」と「三国遺事」に拠るという性質上、神話が途中からシームレスに歴史につながるのです。これは中国神話もそうなのですが、中国神話の場合はそれでも盤古とかあきらかに人間を超越した超自然的存在があり、国生みがありましたけども韓国神話の場合「天界の主催者=天帝」は存在するものの彼がどうこうすることはまずないのですよね。天帝に任命された地上の王の出自来歴と、その王に連なる王家の連枝、だいたいそんな感じです。あと二つ。韓国古王朝の祖・檀君は天帝と熊の子であるとされ、これは北方騎馬民族に多い獣祖神話というやつです。モンゴルの場合だと蒼き狼と白き牝鹿が祖になっているように。もう一つは韓国神話には「卵から生まれる」主人公がやたらと多いと言うことで、中国南方や東南アジアの神話には多いのですが卵生神話といいます。韓国はどちらかといえば北方で、なぜ南方の特色を強く持っているのかは謎ですが。

ガタガタ言うよりここに書いた方が早い、というわけで、まずは新羅(シルラ)神話から。

新羅はもともと、馬韓・弁韓・辰韓という三つの国で、三韓といわれていました。それぞれの国は大して大きくもなかったのですが、やがて辰韓がほかの国を併呑、やがて7世紀頃には大唐帝国と結び、隣の大国百済(ベクチェ)、高句麗(コグリョ)を平らげて朝鮮半島最初の統一国家を齋しました。神功皇后の時、唐・新羅連合軍に攻められた百済を救うために日本から水軍が派遣され、皇后自ら親征しましたがこれは白村江で歴史的敗北を喫し、日本は大陸への制海権を完全に失うことになります。その後高麗に取って代わられますが、現在も韓国・朝鮮系のひとびとにとって新羅王家の「金」という姓は別格です。

 この新羅の建国神話ですが、まずはじまりは辰韓を形成する6つの村のひとつ、閼川楊山(アルチョン・ヤンサン)という村の無理の奥深く、蘿井(ナジョン)という泉から。

アルチョン・ヤンサンの隣村・突山高墟(トルサン・コホ)の村長・蘇伐都利(ソボルドリ)は天から白馬がナジョンに向けて駆け下りるのを目にします。ソボルドリがこれを見て駆けつけてみると、そこには天馬が大きな紫色の卵を守っていなないています。ソボルドリが卵を持ち帰り、割ってみると美しい男の子が生まれました。この子を泉で洗うとその身が光り輝き、かぐわしい芳香を放ち、動物たちが集まってきたと言うこと。

ソボルドリは男の子を朴赫居世(バク・ヒョッコセ。ひょうたんのような卵から生まれた、あかあかと明るい世の中をもたらすもの)と名付け、養育しました。ヒョッコセは長ずるにつれ優れた才能を発揮し、世人の尊崇を受けるようになります。

このころ、辰韓では村同士のいざこざが持ち上がり、その間隙を突いて他国からの侵略を招くという問題が起こっていました。これについて対策を考えた6村の村長たちはアルチョン川の丘に集合し、話し合い、結果として6村が結集して一つの国家を立てるべしと結論づけましたが、問題は指導者です。それぞれの村人たちはそれぞれの村の村長を推し、議論は紛糾しました。

交渉決裂、物別れかと言うとき、ソボルドリが口を開きます。「この辰韓でもっとも気高く、もっとも王位にふさわしい方を推薦する」とヒョッコセを推し、ヒョッコセ様ならば、とすべての民は納得してかくして彼は王となりました。この当時の国名は新羅(シルラ)ではなく徐羅伐(ソラボル)です。

測位から5年、ソラボル王バク・ヒョッコセは鶏龍の娘・閼英(アルヨン)という后を迎え、ふたりは国の発展のため懸命に働いたと言うことです。結果国は豊かになり、人々の生活も安定しました。

これだけだとあまり、神話的要素がないのですけれども、ヒョッコセが天界から追放されたいきさつという話があってそっちが少しだけ神話っぽいです。

ヒョッコセはもともと天界の住人であり、天界と地上を頻繁に往来していました。しかし即位から61年、ひとりの愛妾が自分も一度、天界に行ってみたいと言い出します。きまじめなヒョッコセは当然、これを拒絶するのですが、愛妾のほうもひきさがりません。何度も頼み込み、ヒョッコセは厳しく叱責して断り、これで話は終わった、と思われたのですが。

その数日後。天界に上るヒョッコセの天馬の耳に、愛妾は魔法で蠅に姿を変えて隠れ、忍び込みます。ヒョッコセはそれと気づかず、そのままに天界に上ってしまうと、執務を終えて天界を辞そうとするとき、天帝から呼び止められ、

「天の禁を犯したものを帰すわけにはいかぬ」

と。罪に覚えのないヒョッコセは驚き問い返しますが、天帝は聞かず「ならばお前の馬の耳の中にいるのは、いったいだれか?」と言い放ちます。ヒョッコセは誠心誠意謝罪しましたが、厳格な天帝の許しを得ることはかないませんでした。ためにヒョッコセは「魂は天に、肉体は地上に」と分けられ、魂を抜かれた肉体は地上に落ちて朽ち果てます。

 ヒョッコセの跡を継いだ王たちはいよいよ国を盛り立て、国名ソラボルをシルラと改め、百済、伽耶、そして高句麗をも平定して朝鮮半島を統一することになりました。

 次は駕洛国やります。それでは本日はこれで。

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