表題作通り四谷怪談ものが4作収録された第2巻。お岩は死なず尼になったとする鈴木泉三郎「伊右衛門夫婦」、お岩の祟りを真っ向から否定する大庭鉄太郎「実説・四谷怪談」、パロディー調でどこかトボけた味わいの国枝史郎「隠亡堀」と並ぶなか、ひとり八芳邦雄だけは「霊媒の巫女に殺されたお岩」で原典を尊重してみせる。それぞれの作者の解釈がバラエティーに富み、読みくらべの楽しみがあった。あ、そーいえば、映画の世界では四谷怪談をやる時にはあらかじめお祓いをするというが、小説の場合はどーなのだろーか? やっぱりお祓いしてるのかなぁ(してなさそう)。
和巻耿介「髑髏屋敷」、鈴木唐一「啜り泣き変化」は猟奇殺人もの。通俗といえば通俗だけど、ま、こーゆーのでいいんだよねー。