• ホラー

志村有弘 編『怪奇・伝奇時代小説選集(8)百物語』読了~♪

 府中の暗闇祭で連続して起こる謎の斬りつけ事件。邪道の剣士・小机源八郎、盗賊・五郎助七三郎、山伏・大竜院泰雲がその解決に乗りだす江見水蔭「怪異暗闇祭」がよかった。共通項は〝夜目が利く〟のみで生まれも育ちも違う三人が成りゆきで共闘する点もそうだが、オチも含めて徹頭徹尾〝夜目が利く〟の一事に拘っているのが面白かった。
 飯田豊吉「往生組始末記」は、自殺志願の男女に声をかけては身ぐるみを剥がし、この世の名残に恥戯をさせて殺し、自殺を思い止まった者も口封じで殺す集団〝極楽往生組〟と、涙もろい遊び人・泣き兵衛の対決が主軸の物語。物語の背景である、賄賂と情実が罷りとおる悪政、頻繁に発生する地震や大火事、蔓延する疫病に不景気と、その時代設定に心引かれた。いや、今現在にも、似たようなとこがあるよなぁー、と。

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