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(御礼)いいねと応援ありがとうございます&ハイボールのこと

 「インデックス」をお読みいただき誠にありがとうございました。
 応援をいただきました、牧太十里さま、もりた雅澄さま、睦月リクさま、椿園さま、芦原瑞祥さま、ありがとうございました。瑞祥さまは、素晴らしいレビューもいただきました。感謝申し上げます。

 ハイボール。
 ハイボールには思い出があります。
 よくコンビニにある、ややオレンジ色に近い、土気色のような、あの濃いめのハイボール。
 あのハイボールの大きいほう。縦に長い方。
 あれを、身体を傷みつけるように飲んでいた時があります。

 そして、それを飲みながら聴いていた曲があります。

 ニアオートマタというゲームにある「City Ruins」という曲です。

 数年前。ある人が亡くなって、その人のゲーム機の中から、このニアオートマタが出てきました。やりかけのニアオートマタ。データは、最初のオープニングのバトルが終わったところでセーブされていました。最初の宇宙船のところです。
 私はそのゲーム機・PS4を引き継ぎ、彼が途中で止めていたニアオートマタの続きを始めました。私にとって、何年ぶりかのゲーム体験でした。
 ゲームがどんなストーリーかは、なかなか一言では説明しきれないものがあります。簡単に言えば、人類を守っていると思って必死に戦っていたけれども、すでに人類は滅んでいて、ただ殺し合っていたに過ぎなかった。主人公たちの闘いはすべて無意味だった。そんな感じの暗い話だったように思います。間違っていたらすみません。
 このゲームは「真のエンディング」というものがあります。
 最初にエンディングを迎え、次にもう一方のエンディングを迎えると、そのまた次に「もう一つの選択肢」が出てきます。それを選ぶと、第三の真のエンディングがはじまります。

 そこでは、非常に「メタ」な要素がありまして、主人公の相棒としてずっと存在していた「機械」が、「この終わり方は納得できない」と言って、エンディングに流れるスタッフロールをシューティングゲームのように打ちこわし、真の終わりのためにエンディングを、運命を、変えてしまうという展開です。
 そして、そのためには、PS4をネットにつなげる必要があります。ネットにつなげると「かつてこのゲームを実際にクリアした人」が孫悟空の元気玉のようにエネルギーを分け与えてくれて、難攻不落のスタッフロールを打ち倒してくれるのです。というか、ネットで助けて貰わない限り、クリアできない仕掛けになっています。
 決定された結末に対して、機械自身が、

「私は、この結末を容認出来ない、という結論に至った。」

 と、述べるところは鳥肌もので、ゲーム史に残る名言だと思われます。

 そんなメタ的なゲームですが、その中で通常のフィールド上の曲で流れる「City Ruins」は曲調も鎮魂のような感じがして、その人がなくなった時、ずっとそれを聴いて、ハイボールを飲んでいました。お通夜も、葬儀も、終わったらハイボールを飲みました。
 いまでもその曲を聴くと、ハイボールの味と酔いと、あの時の夏の暑さ、彼の家を片づけるときの狭さ、蚊の多さ、そして彼がやりたかったこと、夢があったこと、膨大なマンガの数々を、思い出します。

 ハイボールと「City Ruins」と鎮魂は、この後、しばらく連続して起こることとなりました。ハイボールを毎日、馬鹿みたいに飲んで眠りました。
 ハイボールを飲むと、記憶がぶっ飛んでいきます。しかし、飲んでいる最中は、決してこの気持ちは忘れないという思いになります。記憶をお酒で忘れたいと同時に、この気持ちはおそらく一生忘れないだろうなという気持ちも沸いてきます。

 私とハイボールの関係はこういう関係であり、あまり良い関係とは言えません。

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