「馬小屋ねる子は石の中にいる」は、ウィザードリィをベースとしたファンタジー小説です。
ウィザードリィというゲームはCRPGの元祖とも言うべき古い作品で、初代appleⅡ版から数えて実に40年以上の歴史があるゲームです。
そのため、多くの機種に移植され、移植される度に少しずつ仕様が違うというおもしろい作品でもあります。
日本に限って言えば、80年代の8bit国産PC(PC98も含む)、ファミコン、スーパーファミコン、PCエンジン、セガサターン、プレイステーション、ワンダースワンに移植されています。派生作品を含めればそれこそ現行のSteamまで続いているので、ともかく長く愛されているゲームです。
国内におけるウィザードリィは、ファミコン版発売前後で明らかにとらえられ方が変わります。
ファミコン以前の国産PC版は、原作のノリをそのまま移植したアメリカンギャグとパロディ満載でファンキーで簡素なゲームでした(なにしろワイヤーフレームのダンジョンで、BGMすらない! 歩くときにピッピっとBEEP音が鳴るだけ!)。
しかしファミコン版は当時流行していたファンタジー色を色濃くし、壮麗なBGMと美麗なモンスターグラフィック、そして壁が表示される迷宮と感覚的な要素が大幅に強化され、そのシリアスな世界観も魅力の一つとなりました。
この要素は国内では元祖とも言えるPC版にも輸入され、Vではモンスターが末弥純さんのイラストが取り込まれた美麗なものとなりました。
こうして国内におけるウィザードリィは、ファミコン版の路線を受け継ぎ、パロディ満載の原作とは分かれてヘビーファンタジー路線を突き進み、もはやカシナートの剣はクイジナートのブレンダーと言ってはいけない雰囲気になりました(?)
と、長々と書きましたけど、私の原点は国産PC版であり、(日本人には)面白いかつまらないのかよくわからないギャグの書かれたマニュアルとシンプルなダンジョンこそウィザードリィという感覚があります。
別に、ファミコン版などをDisるつもりはないのですが、やはり初体験というものは女性にとって大切なものじゃないですか♥(←アホ)
というわけで、ファミコン版以降のシリアスな雰囲気は今ひとつ馴染めなくて(でも手塚一郎氏のウィザードリィⅣの小説は好き)、今でもギャグやパロディがないとウィザードリィっぽくないなぁと思ってしまうのです。
さて、拙作「馬小屋ねる子は石の中にいる」ですが、読んでもらうとわかりますが、各所に原作やレトロゲームなどの様子をモチーフとしたパロディが散りばめられています。
例えば16話の「耶律唯忠理」では、ブロントさんの「恥しらずなカイ使いがいた」をモチーフとしています。
https://kakuyomu.jp/works/16816700425950958052/episodes/16816927862058692662さすがにバックステッポまではやりすぎだとおもって書きませんでしたが(笑)、やはりウィザードリィをモデルとするなら、こういうパロディはどんどん入れていくべきだと思うんですよね。
三人称の小説なので、堅くなりがちですし、読者のみなさんにも息抜きしてもらえる要素として、楽しんでもらえればなと思います。