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応援有難うございます。

連載中の小説、悪役令嬢推しを愛でる。が無事200話を迎える事が出来ました。これも応援して下さる皆様のお陰でございます。感謝の気持ちを込めまして、SS投稿させて頂きます。これからもお付き合い宜しくお願い致します。(=^・^=)

【悪役令嬢推しを愛でる ラファエルSS】

「ラファエル様、カメリア様からのお手紙でございます」
「ああ、ゴードン有難う、早速読ませてもらうよ」

ダイアモンド王国の第一王子ラファエル・ダイアモンドには、愛する婚約者がいる。

それはスピネル侯爵家の令嬢、カメリア・スピネル。

ラファエルにとって、愛おしくってたまらない少女。

それがカメリアだ。

ラファエルが無理矢理頼んだ仮の婚約だとしても、カメリアは妃教育を嫌がることも無く、そして毎週ラファエルに会いに来ては労ってくれる。

働きすぎでは無いですか?

疲れてはいませんか?

ちゃんとご飯は食べていますか?  

などなど……

王子として執務をこなす事にはなれているし、国の為仕事をする事は当然であり、王子としての義務だと思っていた。

けれど心優しいカメリアは、そんな王子として当たり前のことを熟しているだけのラファエルを、素晴らしいと褒めてくれる。

自分にはラファエルの様な行動は出来ないと、尊敬するとまで言ってくれる。

ラファエルから見れば、カメリアの方がよっぽど働きすぎなように見える。

インタリオ商会の事は勿論だが、妃教育の他に自宅での教育、それにカメリア自身が教育を受け持つ立場でもある。

孤児院への慰問もそうだし、ジェイダイト兄弟への教育もそうだろう。

それに最近は魔道具作りにも精を出していると聞いている。

あの細く折れそうな体のどこにそれ程の行動力があるのか……

その上カメリアは、こうして週に一度は婚約者としてラファエルに手紙をくれる。

それも心温まる手紙だ。

『今日はブレティラと一緒にお風呂に入りました。インタリオ商会の新商品にする予定の ”バスボム” を一緒に使ってみたんです。とっても気持ち良かったです。今度王城へ行くときに、ラファエル君にお土産で持っていくのでお楽しみに。きっと疲れも取れますよ』

カメリアはこうして何気ない日常の一こまを手紙にし、送ってくれる。

それがとても嬉しくもあり、優しい気遣いが胸を締め付ける物でもある。

このまま本当の婚約者になれたら、どれ程良いだろうか……

そんな想いが募ってしまう……

「必ず手に入れて見せる……」

そう自分に言い聞かせながら(バスボムとは何だろう?)と、ラファエルは考えていた。

すると頃合いを見計らったようにゴードンから声がかかった。

「ラファエル様、それからこちらもまた届いておりました……」

ゴードンが差し出した手紙の送り主の名を見て、ラファエルはため息をつく。

送り主は、ローズマリー・アルトパーズ。

婚約者がいるから個人的な付き合いは出来ないと言っても、今も尚ラファエルに手紙を送りつけてくる困った令嬢だ。

それも手紙の内容はカメリアの悪口ばかり。

『ラファエル様、我慢しなくても良いのです。あの女の事はアルトパーズ侯爵家でどうにかいたします。私達の愛は不滅です。お心を強くお持ちください。あの女の毒牙から必ずお救いしてみせます。貴方の心は永遠に私のもの……愛していますわ。ローズより』

あの女と書かれているが、それがカメリアであることは一目瞭然だ。

それもラファエルは一度もローズマリーに愛の告白などしていないのに、ローズマリーの中では自分たちは両想いであり、恋人同士になっている様だ。

一体何がどうしてそうなったのか分からないが、ローズマリーは自分とラファエルは、真実の愛で結ばれると疑いもしていないようだった。

「ゴ-ドン、断っても断ってもしつこくされる時はどうすればいいんだ……」

ラファエルは自分の兄の様な存在のゴードンに、頭を抱えながら相談をした。

ラファエルには婚約者がいるというのに、ローズマリーは夜会で会うたびにまとわりついてくる。

それにダンスやエスコートを断れば断る程、執着される気がする。

手紙もそうだ。

週一度送られてきていた手紙が、今や週に三度は届いている。

それもラファエルが返事を返すのを止めているのにだ。

ローズマリーの父親のアルトパーズ侯爵にも、それと無くローズマリーの事で苦言を指した事がある。

だが、「それが乙女心だから」と取り合いもしなかった。

だからと言って陛下に注意をお願いし、大げさにしてしまえばローズマリーの未来が潰れてしまうだろう。

まだ十五の少女だ。

ラファエルもそれは流石にできなかった。

「そうですね……本当に守りたいものがある時、人は非道にならなければいけないのかもしれませんね……ですがラファエル様は王子、個人の感情だけで動くことは出来ない……そこがラファエル様の良いところでもあると私は思いますよ……」
「ゴードン……?」
「まあ、学園が始まったら、婚約者であるカメリア様との仲睦まじい様子を、ローズマリー様にたっぷりお見せすればいいのではないでしょうか? きっと邪魔者は自分だと気が付くはずですよ」
「だと良いのだが……」

それが通用する相手だろうか? と不安が募る。

何故かローズマリーはカメリアを、酷く敵視しているように思う。

ラファエルの婚約者だから……だけではない、何か強い悪意のような物をたまに感じる。

なのに仲が良いところなどを見せても良いのだろうか……

そんな不安に蓋をする様に、ローズマリーからの手紙を閉じると、ラファエルはゴードンに渡した。

そう、受取れないと、ローズマリーに送り返してもらう為だ。

今度カメリアと出かける姿を見せつけてみようか?

ローズマリーがそれで自分を諦めてくれたのならば……

ラファエルはローズマリーの執着心を、この時はまだ軽く考えていた。

後日この日の事をラファエルが後悔するかどうかは、まだ誰にも分からない
……

この国の王子。

それは厳しい決断をしなければいけない立場でもあるのだった。

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