こんばんは、白猫です。(=^・^=)
いつも応援ありがとうございます。
投稿を楽しみにして下さっている皆様、今週、何の連絡もせずお休みいたしまして申し訳ありませんでした。
ちょっと気持ちが付いて行かなくって……
という事で、連絡もなくお休みしていた理由について報告いたします。
実は我が家の大切な家族であるインコちゃんが体調を崩しまして、ずっと寄り添っておりました。勿論仕事を休むわけにもいきませんので出来る範囲でしたが、甘えてくる彼女を出来るだけ可愛がり、本日最期を看取ることが出来ました。
インコって体調不良を隠すんですよね……なので気が付いた時のはもう手の施しようもなく、見守るしか出来ませんでした。
今現在心にぽっかりと穴が開いている白猫ですが、最後に十分可愛がれたので、そこだけは満足しています。
という事で、来週からまた平常投稿させて頂きます。
皆様どうぞよろしくお願い致します。m(__)m
【悪役令嬢推しを愛でる ヴァルラム王子SS 留学物語】
ムーンストーン王国の第二王子であるヴァルラム・ムーンストーンは、ダイアモンド王国での留学期間を満喫していた。
何故なら、ダイアモンド王国の少女達は皆とても可愛い。
ヴァルラムがちょと微笑むだけで、少女達は頬を染め、皆恥じらう。
そして王子であるヴァルラムが気軽に声をかけてみようものなら、小さな生き物のように震えたりもして、その姿がまた可愛い。
ヴァルラムの母国であるムーンストーン王国の少女達は、どちらかというと……いや、正直言ってとても情熱的だ。
というかハッキリ言って恐ろしい……
そう、あれはまだヴァルラムが幼い頃の事なのだが、ヴァルラム付きの護衛の目をどうにかしてかいくぐり、寝所に忍び込もうとした勇敢な? 女性が居たりもした。
また夜会では、誰が最初にヴァルラムとダンスを踊るか……という事で、目に見えぬ場所で血みどろの……いや、顔には怪我をしない程度の? 戦いが合ったりもするのだ。
そして王子であるヴァルラムの婚約者の座につこうとしてか、既成事実を作る為、ヴァルラムの優しさ?(迂闊さ?)を利用し、個室に危なく引きずり込まれそうになったこともある。
ヴァルラムの兄のイェレミアスは、そんな女同士の戦いから逃れるためか、さっさと婚約者を決めたため、女性から攻撃されることが……いや、アプローチされることがだいぶ減っていて羨ましい。
なのでその分もあり、ヴァルラムに狙いを定めた獰猛な少女達の熱視線がムーンストーン王国内では恐ろしかったのだが……
今現在、このダイアモンド王国ではそれが全くない。
というか、女の子達との触れ合いが、楽しくって仕方がない。
(なんと穏やかで平和な事か……)
そして何よりこの留学のお陰で、自分の妃にと望むカメリアとは、いとこ以上の関係になる為、かなり仲良くなれた気がする。
そして側妃にと望むアイリスとは……残念ながらヴァルラムが王子という立場だからだろう
男爵家の娘でしかないアイリスにはいつも逃げられてしまうが、それがまた尚更可愛くて、ヴァルラムはつい追いかけ構いたくなってしまい、謙虚なアイリスは恥ずかしそうに顔を背ける。
それがまたまた可愛くって、追いかけることを止めることが出来ない。
(ああ、なんと愛おしい存在なのだろうか……)
「この国は、いやこの国の少女達は、きっと私のために存在しているのだろう……」
ポツリとそう呟いたヴァルラムの言葉に、頷くことも声を返すことも無く、揺れる馬車の中でありながら、一人の従者が熱心に手紙を書いている。
無視をされている事もそうだが、またその手紙の文字が妙に美しいことにもヴァルラムは腹が立つ。
その上手紙の送り相手は、どうやらヴァルラムが愛してやまないカメリアらしいのだ。
そう、ヴァルラムの留学に、補佐兼影としてついて来たはずのゲイルは、すっかりカメリアと……
いや、カメリアだけでなく、なんとヴァルラムが恋してやまないアイリスとまで打ち解け、インタリオ商会で商品開発を一緒に行うまでの間柄になっているのだ。
カメリアとアイリスと、毎日のように手紙のやり取りをし、ゲイルはヴァルラム以上に二人と親密になっている。
「影のくせに表に出てどうする!」
「その上私の大切な妃候補二人と親しくなるだなんて!」
と大きな声で突っ込みたくなるが、カメリアがヴァルラムの父であるジョシュラン・ムーンストーン国王に、直接ゲイルのインタリオ商会商品開発参加を頼み込んだため、ヴァルラムは文句のつけようもない。
なのでカメリアに『ゲイルさんて本当に素敵な側付きですね』と褒められる度、微妙な気持ちになるヴァルラムなのだった。
「ヴァルラム様、本日私はインタリオ商会へ行く日でございますので、放課後の部活動にはお供できません、申し訳ございませんがよろしくお願い致します」
「フンッ、別にそなたが居なくとも何の問題もない。私には側付きは他にもいる。それに学園内は使用人は本来連れて行けぬものだ、なのでそなたも別に毎日見張りに来なくてもいいのだぞ」
「ああ、そうでした、そうでした。ついいつも屋根裏で見張っていたので、うっかりうっかり。でもヴァルラム様、周りには十分に気を付けてくださいね」
「フンッ、私はもう子供ではない。そなたが心配しなくても大丈夫だ」
と、そんな強気な発言をしながらも、ヴァルラムはゲイルが居ない事にちょっとだけ不安になる。
何と言ってもゲイルの凄いところは、ヴァルラムの恋心はまったく読めなくても、ヴァルラムが困っていると「殿下そろそろお時間が……」とまるで次の用事があるかのように声をかけ救い出してくれるほど空気が読めるのだ。
ダイアモンド王国内では、別に危険があるわけではない。
ただちょっとヴァルラムにも、この平和な国で苦手なものがあるだけなのだ。
そう……ヴァルラムは何よりも、恋愛学部の部長、ナスターシャ・カーネリアンが苦手なのだ。
「あら、ヴァルラム様、本日はお一人で部活に参られたのですか? 珍しいですね。グフッグフフッ」
「べ、別に私とてゲイルが居なくても全然へ、平気なの、だ」
「ゲイル? 殿ですか? 私はいつもヴァルラム様と一緒にいる女子生徒たちの事を言ったのですが? もしかして……ゲイルという方がヴァルラム様の想い人?! グフッ、なのですか? ヴァルラム様はカメリア様を狙っているのかと思っていましたが……グフフッ、なんと男性までも許容範囲とは……ムーンストーン王国の恋愛は本当に面白いものですねー、グフフッグフフッ」
ヴァルラムが何故ナスターシャが苦手かというと、普通に会話しているだけで、不思議と獲物になっているようなそんな心境になり、背筋がゾクゾクしてしまうからだ。
カメリアの事も、”妻にと願っている”などとナスターシャには一言も話した事など無いのだが、何故かヴァルラムの想いは筒抜けだ。
なのでナスターシャとちょっと会話しただけで(ゲイル……)と直ぐに脳内で優秀な側付きに助けを求めてしまうが、そこはヴァルラムとて情熱的な愛の国ムーンストーン王国の王子。
女性の前で不甲斐ない姿は見せられない。
グッと堪え、どうにかナスターシャに笑顔を向ける。
ナスターシャ・カーネリアン……
目が悪いわけでもないのに眼鏡を掛けている不思議な少女。
侯爵家の娘として優雅な立ち居振る舞いが出来ているのだが、ちょっとだけ笑い方が気持ち悪い先輩。
ヴァルラムに興味があるようだが、それが他の少女達とは違い、恋愛的なものでは無いと分かるため、とにかくヴァルラムはどうしていのか分からない。
今迄に会った事のないタイプの少女。
それがナスターシャ・カーネリアン。
とにかくヴァルラムは、ナスターシャの事が気味悪くて仕方がなかった。
「ゴホンッ。あー……ナスターシャ部長もそろそろ卒業の準備で部活に顔を出すのも難しくなるのではないか?」
色んな期待を込めてヴァルラムはそんな問いかけをナスターシャにする。
ヴァルラムを見て鼻の穴をちょっとふくらまし、グフッグフフッと笑っていたナスターシャだったが、ヴァルラムのそんな言葉を聞き、高位の令嬢らしい様子に一瞬で様変わりする。
そんな切り替えが早いところも、ヴァルラムには恐怖だった。
「まあ、ヴァルラム様、ご心配ありがとうございます。流石女性たちに人気のある方は気配りも違いますわねー……ええ、残念ながら私も間もなくこのパラダイスのような学園を卒業ですわ……ですがヴァルラム様、安心してください。私は卒業式当日のその日までこの恋愛学部に通いきる予定ですわ!」
「えっ?」
「実は私、卒業後はムーンストーン王国への留学が決まっておりますの。父上の妹である私の叔母がムーンストーン王国に嫁いでおりまして、そちらにお世話になりながらムーンストーン王国の恋愛事情を学ぶ予定なのですわ。ヴァルラム様が長期お休みでお戻りの際は、是非この学園での恋愛のお話を聞かせて下さいませね。楽しみにしておりますわ」
「えっ? えええっ?」
ナスターシャがムーンストーン王国に来る?!
そう聞いた瞬間、ヴァルラムは何故か蜘蛛の巣に捕まった、小さな力ない虫のような気持ちになった。
もう会うこともなくなる……と、そう思っていたのに、これからはヴァルラムがムーンストーン王国に帰る度、ナスターシャに呼び出され、会う事になるだろう。
それに……
『あなたを見ているのは面白い……グフッ、グフフッ……』
と、そんな幻聴まで聞こえてきた。
ナスターシャからは逃れられない……と、怯えるヴァルラムにまったく気付くことなく、ナスターシャの容赦ない言葉は続く。
「ヴァルラム様、私は間もなく卒業ですが、実は次年度に私の弟であるエリオットがこの学園に入学する予定ですの」
「えっ……お、弟……?」
「ええ、エリオットは……あの子は私から見てもちょっと変わっておりまして、実は人の恋路を追いかけるのが好きなのです。父が恋愛学の教授という事もあるので、幼いころから他人の恋愛ばかりを研究していたせいかもしれません……きっとこの恋愛学部に入部すると思いますが、どうぞ可愛がってくださいませ」
「へっ……へひ?」
「きっと弟は恋多き王子であるヴァルラム様をハンティング……いいえ、尊敬し、付き従うと思いますの、グフッ、ですからどうぞ可愛がってくださいませ……ヌフフフフ」
ヴァルラムはナスターシャの目が……いいや、眼鏡がキラリと光るのを見て恐怖から心の中で叫んだ。
ゲイルーーーー!! と……
だが勿論ゲイルにその声が届くことはない。
ダイアモンド王国の恋愛学の第一人者であり、何よりも他人の恋路を愛する一家であるカーネリアン侯爵家。
ヴァルラムはこの留学で、どうやらそんなカーネリアン侯爵家に気に入られてしまったらしい。
ヴァルラム王子の楽しく、愉快で、幸福な留学生活は、カーネリアン侯爵家に目を付けられたことで恐怖の色が色濃く出る、それはそれは思い出深い留学になるようだった。
情熱的恋愛の国ムーンストーン王国の王子であるヴァルラム王子。
そんな彼の、これからの恋愛の健闘を祈ろう。
ゲイルーーーー!! 助けてーーーーー!!