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沢山の応援ありがとうございます。

魔法使いの子育て奮闘記、沢山の応援ありがとうございます。この場をお借りしてお礼申し上げます。感謝の気持ちを込めましてSS投稿させて頂きます。楽しんで頂けたら嬉しいです。(=^・^=)

【ルイスSS】

王都の商業ギルドのギルド長であるルイスはとても忙しい。

この国一番の賑わいを持っている王都の商業ギルドだ、それは当然のことだとルイスも理解している。

けれどスター商会と出会ってから、その忙しさは半端ないものに変わった。

ブルージェ領の商業ギルド長であったベルティーナ・ランゲが言っていた言葉が今なら十分に理解できる。

「あの子の傍にいると休む間もないほど忙しくなるよ。覚悟は出来ているかい?」

そうあの子とは勿論スター商会の会頭ララ・ディープウッズの事だ。

新しい商品を次々と開発し、そしてそれを惜しむことなく安値で販売をしている。

その活躍は飲食店だけにとどまらず、服飾店、薬類、そして最近ではおもちゃ屋さんなる物まで開店させた。

そのお陰でスター商会に関する商業ギルドへの問い合わせは凄い物になっている。

「おもちゃ屋さんの商品は大量に買い取れないか?」

「レストランの予約が全然できない何とかしてくれ」

「我が領にもスター商会を作って欲しい」

「従業員の募集はしていないのか?」

などなど……

とにかく毎日の問い合わせでもすごい数になる。

そう、スター商会は色んな意味でルイスに忙しさを与えていた。

「ギルド長、今日はスター商会の会頭はいらっしゃいますか?」

ギルド内を歩けばルイスにはそんな声がかかる。

スター商会との会合は週に一度ぐらいあって、その時は副会頭のリアムが来るのだが、商業ギルドの職員達が待ちわびているのはイケメン副会頭のリアムではなく、スター商会の会頭のララだった。

リアムも会合の際、商業ギルドへと気前よく差し入れをくれるのだが、ララの場合そこに ”新商品” だったり ”開発中” という付加価値が付く。

スター商会の商品ファンばかりの商業ギルドで、そんなララが来ることを期待するのは当然だった。

その上……

「ララ様がいらっしゃると、皆の仕事にやる気が出るんですよねー。「お疲れ様です」とか「無理しないでくださいね」なーんてあの可愛い顔で言われちゃうと、みーんなメロメロになっちゃって笑えるぐらいなんですよー、デヘヘヘヘ」

そう言う自分もなんですけどねー、なーんて受付担当のフレディがそんな事を漏らす。

そう、ララはすっかり商業ギルド職員たちも掌握していた。

皆が元気になるのも当然で、ララは商業ギルドへ来ると必ずルイスと補佐のナシオに癒しを掛けてくれるのだ。

そしてそのついでと言ってギルド全体にも癒しを掛ける。

ついでの大きさがついででは無い気もするが、ララ的には魔力が使えてスッキリ出来るので良いらしい。

普通の人間ならば魔力枯渇で死んでいる所だが、そこがディープウッズの娘であるララの凄いところでもあった。

「あー……フレディ……悪いがララ様は暫く来ないぞ」
「えっ……まさか……御病気ですか?」
「いや、学園の入学試験があるんだ。暫くはそっちに専念するらしいぞ」
「学園の……入学試験……」

そう呟くとフレディはピタリと動きが止まり、顎に手を置き考え込んでしまった。

何かおかしいことを言ったか? とルイスが少し不安になっていると、フレディが申し訳なさそうな顔で話しかけて来た。

「ギルド長……あー……ララ様って今更学校に行く必要ってあるんですかね?」
「えっ……?」
「だってもういっぱしの大人以上の働きをしているし……勉強だって出来るんですよね?」
「あっ……」
「ララ様……学校行ってもつまらないんないんじゃないのかなー……差が有り過ぎて……」

フレディの言葉を聞いて 確かに! とルイスは思った。

ララほどの天才が今更同年代の子供と同じ教育を受けたとしても、差があり過ぎて学園に行く意味がない気がした。

いやいや、まてまてとルイスはそこで一人首を振る。

なにも勉強するだけの為に学園へ行くわけではない、友人付き合いや、部活動、それに貴族としての人付き合いなどを学ぶ場でもあるだろう。

そう考えればララが学園へ行くのはとても意味がある気がした。

常識を学ぶ。

人間離れしたその行動や思考回路を考えなおす場。

ララには絶対にそれが必要だ。

その場が学園となればいい、ルイスはそう思った。

「被害者が増えそうですね……」

ナシオが小さな声でそんな事を呟いた。

被害者。

それはつまりララ・ディープウッズに魅了されてしまう人間の事を言っているのだろう。

そう、商業ギルドにでさえ、ララを知らない人間からスター商会に関してこれだけの問い合わせがある。

ララ本人に出会ってしまったら……

その魅力に魅了され骨抜きにされるのは想像がついた。

学園時代なかなか心を開かずツンツン王子(ルイスの中では姫)だったリアムは、既にララの虜になっている。

それにスター商会の従業員達は、皆ララに夢中だろう。

かく言うルイスだって、ララと一緒に居ることが楽しくて仕方がない……そんな一人になっていた。

「まあ、あれだな……そこはホレ、仕方がないと諦めるしかないだろう……足掻きようがねーしなー」
「まあそうでしょうね……ただ、ルイス様、ララ様に知り合いが増えればこちらも忙しくなりますよ」
「えっ……?」
「学園中の貴族の子供たちがララ様に興味を持つはずですからね……問い合わせは今以上に増えるでしょうね……」

ナシオの言葉にルイスはゾッとした。

これ以上忙しくなる?!

でも……

まあそれも面白いだろう……

ララの傍に居ると面白い。

王都の商業ギルドのギルド長であるルイスの忙しさは、まだまだこれからが本番の様だった。

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