元聖女様に沢山の応援を頂きありがとうございます。皆様の励ましや♡や☆、そしてコメントが心の支えになっております。感謝の気持ちを込めましてSS投稿させて頂きます。m(__)m
少しネタバレになるかもしれないお話です。気になる方は最後は見ずにお過ごしください。(笑)無理かしら?お許しくださいませ。
【クラリッサはお年頃】
「クラリッサ様! どうか私と結婚を前提にお付き合い下さい! 宜しくお願い致します!」
「……悪いが、私は部下と付き合いう気は無い……それに君の事は恋愛対象として見れない……済まない……」
炎の騎士クラリッサは、その見た目の美しさからモッテモテだ。
大体いつも補佐官に付いた男性には告白されるし、新人騎士も一度はクラリッサに恋をしてくる。
それも皆、結婚前提の申し込み……
平民出身のクラリッサとしては、恋人とデートをしたり、いちゃこらしてから結婚へと進みたい。
なのにこの見た目と、クラリッサの騎士としての強さだけを見込んで結婚を申し込んでくる男たちに辟易していた。
それに……
クラリッサに近付く騎士の男たちは、汚い、デカい、暑苦しい者たちばかり。
出来れば可愛い系の男の子とお付き合いしたいクラリッサとしては、騎士系男子はお断りしたい者たちばかりだった。
「アルホンヌも昔は可愛かったんだがな―」
姉弟のように育ったアルホンヌは、実はクラリッサの初恋の相手だったりする。
泣き虫で、弱虫で、クラリッサの後をついて来ていたアルホンヌ。
あの当時は天使のように可愛かった……
なのに今ではクラリッサよりも背も高く、しっかりとした体つきの、その上口が悪い、騎士らしい騎士になってしまった。
それに……
アルホンヌとは一緒に居る時間が長すぎて、もう本当の弟にしか思えない。
顔は可愛いとは思うが、それ以上には思えない存在となっていた。
「クラリッサ様、ベランジェ様からの緊急連絡です!」
ベランジェからの緊急連絡と聞いてクラリッサは慌てて研究室へと向かった。
ベランジェが人を呼び出すなど緊急事態でしかない。
普段研究にしか興味がないベランジェは、あまり人と会わない。
相当な事がない限り呼び出したりしない。
だからこそクラリッサは大急ぎでベランジェの下へと向かったのだが、まさかそこで運命の相手に出会うとは思っていなかった。
「ベランジェ兄、彼は? 新人?」
その青年は、クラリッサと目が合うだけで頬を染めていた。
普段クラリッサの体を厭らしい目つきで見てくる男たちとは全く違う。
笑いかければ頬を染め、話しかければ照れて俯く。
何この子!
本当に男の子か?!
乙女じゃないのか?!
可愛い!
可愛すぎる!
めっちゃ揶揄いたくなるんだけどーーー!
余りにもその青年が可愛くって、クラリッサは肩を組んでみた。
すると真っ赤になってもじもじとする。
また別の日には耳元に囁いてみた。
青年の初心な反応がとても可愛い。
馬車の中でクラリッサが横に座るだけでも照れている。
その姿がたまらなくって、クラリッサの胸を締め付ける。
この可愛い子を自分のものに出来たら……
クラリッサは気が付けばそう思い始めていた。
「クラリッサ様、見て下さい、あの花クラリッサ様みたいですね」
セラニーナ様の屋敷に着くと、庭の花を見て青年がそう話しかけて来た。
凛と美しく咲くその花を見て、青年はクラリッサをイメージしたようだった。
「あの花が……私に似ていると?」
「はい、綺麗なだけでなく美しくって、それでいてカッコイイ……それにあの花は食べると美味しんですよ……私はあの花が大好きです」
クラリッサはその言葉に胸がぎゅっと締め付けられた。
青年は何気なく言った言葉なのかもしれない。
けれどクラリッサが恋に落ちるには十分すぎる言葉だった。
「グレイス……有難う……とても嬉しいよ」
クラリッサがお礼を言うと、グレイスは頬を薄く染めニッコリと可愛く笑った。
その笑顔がまたクラリッサの胸を締め付ける。
こんな可愛いグレイスと恋が出来たら……
お年頃のクラリッサの恋は、どうやら今始まったばかりの様だ。
これからこの二人がどうなるかは……
今の所誰にも分からないのだった。