皆様いつも応援ありがとうございます。白猫なおです。
早い物でもう三月……
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【ララとリアムのひな祭り】
「ララ、お前、なんか新しいお菓子作ったんだって?」
どこからの情報なのか、リアムは私が朝から作業部屋に籠り、お菓子作りをしていた事を知っていた。
スター商会内に匂いが充満していたのか……
お菓子に関してはリアムは地獄耳ならぬ地獄鼻だと思う。
バレちゃー仕方が無いと、リアムの後ろにいるガレスに視線を送り
『今日はもうおやつ食べた?』
『大丈夫です。今日はまだ食べて居ません』
と、アイコンタクトで会話をしてから、リアムの目の前に作ったばかりの ”ひなあられ” を出して上げた。
因みにここは廊下で有る。リアムは厳しいランスの目を盗んで来たとしか思えない。確信犯だろう。
雛あられの試作品を持ってスターベアー・ベーカリーに行こうと思っていたところで、まさかリアムと出くわすとは……
リアムはお菓子に関してはセオよりも探査が得意なのかもしれない……
新商品のお菓子を前にリアムが興奮して食べ過ぎないかと、ガレスは心配気だ。
ガレスは下僕としてリアムの健康管理をする立場なので、それもそうだろう。
いざとなったら取り上げるからねと、ガレスにウインクして知らせるとホッとしていた。
ガレスも私と同様、リアムの下っ腹が心配なのかもしれない……
「随分と綺麗な……いや、可愛い菓子だなー、これは人気が出るんじゃないのか?」
「女の子の為のお菓子なんだよ。”ひな祭り”って言って女の子の成長と健康を祝いする時用のお菓子なの。だからリアムはもう食べなくって良いの! 男の子なんだから!」
大きな手のひらで遠慮なく雛あられを掴み、バクバクと食べだしたリアムから雛あられを取り上げた。
小さくって食べやすいので遠慮が無い様だ……
リアムが泣き出しそうな可愛い顔をして雛あられを見て来ても、私は心を鬼にして魔法鞄にしまい直した。
リアムのモデル体型は皆で死守しなければならない。”残念な元イケメン”と言われないために!
ガレスと私の目には同じ決意の炎が灯った。
そうひな祭りなので灯りがついた瞬間だった。
「……って事は……ララ、男の子のお祝いも勿論あるって事だよな?」
「えっ?」
「その時は俺は遠慮なく菓子が食べれるって事か、ハハッ、今からその日が楽しみだぜ!」
そう言ってリアムは不安げな表情を浮かべるガレスを連れて、スキップでもしそうなほどご機嫌な様子で自分の執務室へと戻っていった。
五月五日は、ちまき、柏餅、草餅……
リアムに出すときはランスの前にしようと決意した私だった……
どうかリアムの下っ腹が成長しませんように、ひな祭りにそう神様にお願いした私なのだった。