皆様いつも応援ありがとうございます。白猫なおです。(=^・^=)
魔法使いの子育て奮闘記番外編ですが、今日投稿分で書き貯めていた物が終わりました。次回は10日が投稿日になります。その後は五日ごとに投稿してまいりますので、お付き合いしていただけたらと思っております。これからも宜しくお願い致します。
では、感謝のSS贈ります。
【コロンブSS】
「いやー、セオ坊は天才だなー、あの年でこんな物を造り上げるんだからなー、なあ、コロンブ」
セオから貰った剣を鍛冶屋を営む父親に見せたところ、抱えて離さなくなってしまった。
自分も卒業生なのにセオは卒業のお祝いにと、俺やトマス、マティやアデル、それに王子だから幾らでも良い剣が手に入るであろうレオナルドやアレッシオにまで自作の剣をプレゼントしてきた。
勉強も武術も剣術も完璧でその上鍛冶の腕も良くって優しいイケメン……
本来なら嫉妬するところかもしれないがそれを通り越して尊敬しかセオには沸かなかった。
セオはそれ位凄い男だ。
「はー……セオ君素敵だったー、それに王子様も……お兄ちゃんでもたまには役に立つのねー」
失礼な言葉を吐いてるのは俺の妹だ。
卒業パーティーのパートナーとして連れて行った日からこの調子だ。セオと王子様の話しかしない。それもしつこいほどに。
俺は今学校を卒業して、親父の鍛冶屋で修行中だ。
まだ当然剣なんて打たせて貰えない。今は掃除や水くみとか下働きと同じ仕事をしてる。
修行なんだから当たり前、だけどちょっと……セオ見たいな才能が有ったらって羨ましく思った。
「なあ、コロンブ……セオ坊は幸せか?」
工房で二人きりになった途端、親父がそんなことを俺に聞いてきた。
何だ突然って思ったけど親父は普段見せない様な怖いほどの真剣な顔をしていた。
セオは幸せか……
学校で楽しそうなセオ、ルイとトマスと俺とふざけ合っているときのセオ、勉強や武術、剣術で褒められて少し照れるセオ……
いつもセオは幸せそうに見えた。
でもたった一つララちゃんが眠りについた時だけは……死にそうな顔になっていたけれど……
「親父、セオは幸せだよ、何でそんな事を聞いて来るんだ?」
「はっ、お前には分からねーか……何の努力も無く色んな事が出来る人間なんていねー、セオ坊は小っちゃい頃から死に物狂いの努力したから今があるんだろ……でもそうか……幸せならそれで良い……」
親父はセオの剣をまた見つめ、少し涙ぐんで居る様だった。
セオが何でもできるのは天才だからだと思っていた……
だけど親父の言葉を聞いてそれは違う事に気が付いた。
努力の差……それが今の俺とセオの鍛冶の実力の差だ。
「親父、俺にも剣を打たせてくれ!」
「馬鹿野郎、半人前のお前に打たせる剣なんかねーよ!」
「分かってる! 仕事の剣を打ちたいって事じゃないんだ、空いている時間……仕事終わりでも良い、捨てられてしまうような剣を俺の修行に使わせて欲しいんだ!」
親父は黙った。
何かを考えている様だ。他の職人の手前、俺ばかりを特別扱いする訳には行かないんだろう。それは良く分かる。
だけど、掃除だけしてたってセオの実力にはいつまで経っても追い付けない。
俺は鍛冶だけはセオ以上に努力していかなければならないんだ。絶対に。
「……先ずは小物からだぞ……それからだ……」
「有難う……いえ、有難うございます。師匠!」
勉強も武術も剣術も、きっと一生セオには敵わないだろう……
だけど俺は鍛冶だけは絶対にセオには負けないってそう決めた。
いつか俺の剣をセオに胸を張ってプレゼントするために!