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第十一章本日より始まりました。

皆様おはようございます。白猫なおです。(=^・^=)
本日より第十一章王都への躍進が始まりました。題名を進出と悩んだのですが、もう王都でもかなりスター商会の名は知られていますので躍進にいたしました。引き続き楽しんで頂けたら幸いです。
何時も温かな応援有難うございます。皆さまの励ましが創作意欲の糧となっております。感謝の気持ちを込めましてSS送ります。

【アリナSS】

 ララのそば付きメイドであるアリナ・セレーネには最近気になる人がいる。

 その人に初めて会った時、魔獣の陽炎熊のような人だなと思った。

 体は大きく、顔も厳つく、声も大きい。

 でも不思議と笑顔がとっても可愛かった。

 ベアリン達もクルトやメルキオールも体も大きくて怖い印象があるが、彼は違う、大きくっても可愛いのだ。

「アリナ様、ララ様は大変素晴らしいお方ですね」
「アリナ様、ララ様のお小さい頃の話をもっとお聞かせ願えますか?」
「アリナ様、ララ様の小屋へと案内していただいても宜しいですか?」

 アリナが大好きで世界一大切にしているお嬢様である ”ララ” の事を、彼も尊敬していて、そして自分と同じように大好きであることを知ると何故か嬉しくなった。

 何時しか二人で会話をする事が増え、たまに会ってララの事を話すだけでは物足りなくなっていき、今では毎日の様に些細なことを文通する中になった。

 お互いの呼び方も友人として敬称なしになっている。

 アリナは何でも話せる友人が出来たことがとても嬉しかった。生まれた村では嫌われ蔑まれていたアリナは友人など今まで一人もいなかった。
 それが今は何でも話せる相手がいる。幸福で胸が熱くなった。

「まるで恋をしているようね……」

 文通している事をオルガに話すと、優しい笑顔を向けられてそんな事を言われてしまった。
 アリナは種族も年も性別も違う相手で、ただの友人だとオルガに説明をしたのだけれど、それでも頬が熱くなっているのが自分でもわかった。

 彼からの手紙を心待ちにしている自分がいる事にも気が付いていた。

『美しいアリナへ 今日は研究所で私は、ララ様がお作りになった通信魔道具の改良の研究を始めることにした。ララ様がお作りになった物はどれもとても素晴らしい。目を見張る物ばかりだ。流石アリナのご主人様だ。尊敬しかないよ。もし改良に成功したら君に一番に知らせたいと思う。愛を込めて、オクタヴィアン・シモン』

 毎日の様に届く手紙にはいつもララを褒める言葉が書いてある。

 アリナはララが眠ってしまった今この手紙だけが心の支えで有った。

「大好きなんだわ……」

 オクタヴィアンの事が好き。
 これが恋なのか、それとも友情なのか、それはアリナにも分からない。

 ただ80年も生きてきた中でこんなにも胸がときめくのは、ララが笑顔を自分に初めて向けてくれて時以来だった。

 美しい人……愛を込めて……そんな手紙の決まり文句でさえ彼に言われると嬉しさを感じる。

 このトキメキが何なのか……何時か分かる日が来るのだろうか……

 アリナは送られてきた手紙をそっと胸元で抱きしめると、大好きな友人の事を思った。

 毎日貴方の笑顔が見ていたいと……

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