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魔法使いの子育て奮闘記、九章が間もなく終了です。明日の二話目からは十章となりますので宜しくお願い致します。白猫なおでした。
【メグSS】
ビルとカイの妹であるメグは今日もウキウキだ。
スター商会の研究所の寮に兄たちと住み始めてから毎日が幸せで、幸せ過ぎて笑いが止まらないほどだ。
はあ、幸せ! カイお兄ちゃんに話で聞いていた ”ララ様” に助け出されてからずっと幸せな毎日!
だって――
「うふ、うふふ、今日もどの角度もバッチリー。右も左も全部可愛いー。なのに性格男前って、何でしょうか、それはっ! ふふ、うふふふふー」
「メグ……また心の声が漏れてるよ……」
メグは声を掛けられて驚き振り返った。
そこにはシラケた視線をメグに送るカイの姿があった。
「カ、カイ兄ちゃん! おはよう……てへ、聞こえてた?」
「てへ、じゃないよ、駄々漏れだから! 気を付けないと破廉恥女子だって皆に思われるぞ」
「えー、何それ! 酷ーい!」
頬を膨らませながら怒るメグは美少女だ。
兄弟であるカイから見て、贔屓目を抜いても美少女である。
だけどメグは昔からちょっと変わっている。
今だって食堂の柱の陰から、マルコの事を涎でも垂らしそうな様子で見入って居た。
メグのこの変態気質を知っているのは兄弟の中でも年の近いカイだけだ。
メグは大人しく可憐な美少女として他の兄弟からも、親からも、そしてこのスター商会の皆からもそう思われている。
だけど本当は可愛い物好きの変態だ……
残念美少女の妹が心配でならないカイで有った……
「サシャさんも可愛い部類だけどー、やっぱり男の子一位はマルコさんよね……女の子の一番は勿論ララ様だわー。あれはもう人間ではない、妖精とか天使とかこの世界では考えられない可愛らしさよねー、くふふ」
「……メグ……いいから……朝食選べよ……」
メグは自分の趣味を知るカイの前でだけは饒舌だ。
可愛い物談議に花が咲く。
ララ様からスター・ブティック・ペコラで販売されているぬいぐるみをプレゼントされた時、メグは気を失いそうになっていた。
ぬいぐるみが可愛いから……と言うのもあるが……なによりも、”ララ様がぬいぐるみを抱いていた!” という可愛い姿に失神しそうになったそうだ。
俺の妹大丈夫か?! と心配になるカイで有った。
「メグ! カイ! 待っていたぞ! ふむ、朝食を食べようでは無いか!」
ガハハハッ! と笑いながらマルコが手招きして自分の席へとメグとカイを呼んだ。
毎朝ビル達兄弟と朝食を摂るのがマルコの日課で、親友との時間が何より大切なマルコであった。
「ビルはどうした?! 弟たちの世話か?!」
「ああ、ビル兄ちゃんは弟たちともうすぐ来るよ」
「そうか、相変わらずビルは世話焼きだなー! ガハハハッ!」
「くふっ、可愛い、見た目美少女、くふ、くふふ」
カイは思わずメグの事を肘で突いた。
変態女子駄々漏れである。研究好きのマルコの前ではとても危険だ。
下手したら頭の中を調べられてしまうだろう……
「マルコ、おはよう」
「おお! ビル来たか! さあ、隣へ座れ! 弟たちはどうした?!」
「有難う、あいつらはあっちでジュール達と食べるって、すっかりなついちゃってるからなー」
「そ、そうか、なついてるのか……」
ちょっとうらやましそうにマルコはジュール達の方へと視線を送った。
親友の兄弟とは自分も仲良くしたいようだ。
メグが「何その顔、可愛すぎ」とカイの横で小さく呟く。
まったく男性には見えない美少女の様な可愛いマルコは、メグのドストライクのようだった。
目の前にマルコが居ると可愛くってつい本性が漏れてしまうメグだった。
何だか落ち込んでいるマルコにビルが話しかける。年下だがすっかり兄気分のビルだった。
「マルコ、どうした? 兄弟が欲しいのか?」
「むむむ、いや、俺にも兄だが兄弟は要るぞ、ただ、小さき兄弟が気になっただけだ、問題ない!」
口を尖らすマルコを見て、ビルはやっぱり弟とか妹が欲しいんだろうなーとクスリと笑みがこぼれた。ビルはカイとメグの攻防には気付いていない。
メグはカイ以外には本性を隠しきれている変態女子ベテランだ。街で一番の美少女と言われていたのは伊達では無かった。
「マルコ、俺達と本当の兄弟になれる方法があるぞ」
「何?! 親友と兄弟?! それはどうやるのだ!!」
「ハハハッ、頭良いんだろ、考えてみろよ」
マルコはこの後ビルに言われたことをじっくりと考え始めるが、薬や、魔法で兄弟になる方法ばかりを探すことになる。
メグとカイはこの時ビルとマルコの会話を聞いていなかった。ぐふぐふ笑う妹を止めるのにカイは忙しかったからだ。
その為、メグも自分の大好きなお気に入りを毎日間近で眺められる方法に気が付いておらず、ビルだけがその日が早く来れば良いなーとこの時ぼんやりと考えて居た。
彼らが本当の兄弟になれる日が来るのはまだ少し先の話になる。