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番外編投稿いたします。

こんにちは、白猫なおです。いつも応援ありがとうございます。(=^・^=)
今日から魔法使いの子育て奮闘記の番外編を投稿させて頂きます。本編と合わせて読んで頂けたら嬉しいです。宜しくお願い致します。

【アラスターSS】

 俺は戦場に居たはずだった。

 国の為、命を掛けて戦っていた……

 倒幕、改革、変革、近代化……

 そんな事は言われなくても分かっている……ただ俺は……俺自身が武士として最後まで生きて居たいとそう思っていただけだ……例えそれが死につながっていたとしても……

 
 戦いのさなか然眩い光に包まれたと思ったら、気が付けば私は見知らぬ空間に居た。
 そこはほんのりと温かく、心も体も穏やかで、何の苦痛も無い場所だった。
 するとそこに一人の美しい女性が現れた。

「あら、気付かれた様ですわね」
「……貴女は一体……」
「フフフッ、そうね、貴方の世界で言う所の ”神様” とでも言いましょうか……貴方の魂をここへ呼び寄せたのは私ですのよ」
「神様で有られますか……」

 私は驚き頭を下げた。

 きっと私は戦で戦死したのだろう、最後に神に会えるとは……自分の幸運を嬉しく思った。

 神は穏やかに笑われると、また言葉を続けた。
 涼やかな音色を奏でる笛の様に心地いいと思わせる可愛らしい声色だった。

「貴方はとても美しい魂の色をしています」
「美しい色ですか……?」

 神は頷きまた笑顔を私に返された。
 成人してからという物、戦場ばかり駆け巡って来た私に神の笑顔が清涼感を与えさせた。生まれて初めてともいえるぐらいの穏やかな心になれた気がした。

「私はそんな貴方にお願いがあってここに呼びました」
「はい……」
「ある世界に転生し、その世界に穏やかな日常を取り戻して頂きたいのです……」
「穏やかな日常……ですか……」

 神の説明のよると、悪魔のいたずらでその世界ではこれから戦争が起こる可能性があるとの事らしい、人々が恐怖し、幸福が無くなり、その世界自体が滅亡する可能性もあるとの事だった。それを私に阻止して欲しいと神は信じられない事を仰ったのだ。
 こんな無力な私にそんな大それたことが出来るのかと不思議だったが、神は私には【チート】とやらを使いこなす才能があるのだとそう仰られた。

「勿論このまま天上へと昇ることも出来ます……ですが貴方は前の世界で普通の幸せを手にする事はありませんでした。次の世界では自分の力で幸せを築いてみませんか?」

 確かに私は戦いばかりの生活の中で、妻も持たず、子を作ることも無かった。両親も早くに無くなり、叔父の家で肩身の狭い生活の中己を鍛えることだけに幸福を見出してきたようにも思えた。

 これは神から与えられた試練ではなく、幸運なのではないかとそう思えた。

 私は神に ”転生” する意思を伝え、意向にそう決意を固めたのだった。

「有難うございます! 貴方には最大限の力と、美しい妻、そして可愛い子を必ず授けましょう、転生先の世界を存分に楽しんで下さいね……」

 そう仰られた神の声を聞くと私はまた眩い光に包まれた。

 そして意識を取り戻すと、私はアラスター・ディープウッズに生まれ変わっていたのだった。

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